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【2020東京五輪】

楢崎智「金」で五輪へ クライミング世界選手権・複合

男子複合決勝 ボルダリングの第2課題を完登し、叫ぶ楢崎智亜=エスフォルタアリーナ八王子で

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 世界選手権最終日は21日、東京都八王子市のエスフォルタアリーナ八王子で8人による男子複合の決勝が行われ、23歳の楢崎智亜(TEAM au)がこの種目では男女を通じて日本勢初優勝を果たし、2020年東京五輪代表に決まった。ボルダリングに続く今大会二つ目の金メダル。

 4位の原田海(かい=日新火災)を含めた上位7人(1カ国・地域2人まで)が五輪出場の前提となる「参加資格」を獲得した。日本協会は参加資格を手にした日本勢最上位の1人を五輪代表にすると定めていた。楢崎智の弟、楢崎明智(めいち)は5位、藤井快(こころ=ともにTEAM au)は6位だった。五輪で実施される複合はスピード、ボルダリング、リードの順に3種目に臨み、各種目の順位を掛け算したポイントの少ない選手が上位となる。楢崎智は2、1、2位で4点だった。

◆貪欲に成長、頂点つかむ

 大トリでの登場は首位で最終種目を迎えた証し。湧き起こる大声援を重圧ではなく、「期待してもらった方ががんばれる」と受け止めた楢崎智。リードでは終盤に差しかかったあたりで落下したが、3種目のポイントでは2位以下を圧倒。東京五輪への切符を、日本人初の複合世界王者のタイトルとともに手にした。

 鍵となったのは、最初の種目スピードだった。準決勝ではスタート直後、壁の左側にある突起物を飛ばして直線的に駆け上がり、時間短縮を図る「智亜スキップ」が決まる。今年5月に記録した自身の日本記録を0・1秒以上更新する6秒159をたたき出し、「すごくプラスに働いた」と勢いに乗った。

 3種目の順位を掛け算したポイントの少なさで順位が決まる。足し算と違い、1種目でも大失敗すれば優勝は遠のく。ボルダリングとリードの安定した強さは誰もが知るところ。スピードを2位で突破した時点で、優勝への道が開けた。

 ボルダリングは今季の年間総合王者の実力を見せつけ、全3課題を完登。「たまたま課題との相性が良かっただけ」と謙遜したが、技術と経験が凝縮された圧巻の内容だった。

 五輪の前年に、五輪で実施される種目で世界一。だが、慢心はみじんもない。いち早く五輪代表に内定したことも「自分の弱さと向き合う時間が周りの選手より増えた」と喜ぶ。貪欲に成長を続け、最強クライマーとして五輪の舞台に立つ。 (多園尚樹)

<ならさき・ともあ> 小学5年で競技を始めた。高い身体能力を生かし、ボルダリングは16、19年にワールドカップ(W杯)年間総合と世界選手権の2冠。複合では5月のジャパンカップで2連覇を達成した。栃木・宇都宮北高出、TEAM au。170センチ、60キロ。23歳。宇都宮市出身。

◆楢崎明、メダル逃す

 楢崎明は2種目を終えて兄とのワンツーフィニッシュも視野に入ったが、リードで暗転してメダルと日本勢2番手を逃した。足の位置を変える際に安全を確保するためのロープが絡まって中盤に落下。「クライミングをやっていて、こんなに悔しいのは初めて」と声を落とした。

 それでもボルダリングでは兄に次いで2位に入るなど、世界の舞台で戦える手応えも得た。「僕が強くなれば(兄弟)2人で(五輪に)出られると分かった」と成長を期した。

<スポーツクライミングの東京五輪出場への道> 世界選手権など国際連盟の指定大会で「参加資格」を得た選手の中から各国・地域が任意で五輪代表を選考する。指定大会は他に11〜12月の五輪予選(トゥールーズ=フランス)と来年の大陸別選手権がある。20人でメダルを競う東京五輪には日本から上限の2人が出場することが今大会で決まった。日本協会の選考基準で、五輪代表決定者を除いて参加資格保持者が複数出た場合は来年5月の複合ジャパンカップで2人目の代表を争う。

 

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