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【2020東京五輪】

<記者の目>高温多湿ドーハで体験 やむを得ない

 国際オリンピック委員会(IOC)が示した東京五輪のマラソンと競歩の札幌開催案。実現となれば、運営面でさまざまな問題があるだろう。

 だが、ドーハで開催された陸上の世界選手権を取材して、競技の視点でいえば、高温多湿の東京から離れることは、やむを得ないと感じる。

 女子マラソン(完走率59%)と男子50キロ競歩(完歩率61%)の日は耐えがたかった。深夜とはいえ、一歩外に出るだけで汗が噴き出てくる。まるでサウナにいるようで、とてもじゃないが、体を動かす環境ではない。マラソンなら約2時間半、50キロ競歩なら4時間前後、沿道で見ているだけでもつらくなり、冷房の効く記者室に何度戻ったことか。

 ゴール付近には車いすが並び、レースが始まると、熱中症で棄権したとおぼしき選手が次々と運ばれてくる。競技中に嘔吐(おうと)する選手も複数見た。救急搬送される選手もいる。棄権者続出のレースに、ある関係者は「これは陸上競技ではなく、我慢大会だな」とぼやくほど。同じような過酷な条件になりかねない東京ではどうなるか。誰もが不安に思ったはずだ。

 確かに、ドーハと比べれば東京の方が「まし」かもしれない。しかし、選手や観客が倒れるような事態が起こってからでは遅すぎる。ドーハの惨状を目の当たりにしたら、少しでも安全に競技へ取り組める場所や条件を模索するのは自然の流れだろう。

 マラソン、競歩ともに日本勢は暑さ対策に力を注いできた。札幌開催となれば、優位性はそがれるかもしれない。だが、五輪は世界中のアスリートのもの。より多くの選手がベストを尽くし、笑顔でゴールできる。そんな「アスリートファースト」の環境で競技をしてほしい。 (森合正範)

 

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