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【2020東京五輪】

東京五輪まで半年 代表争い、ますます熾烈

 2020年東京五輪の開幕が半年後に迫る。56年ぶりとなる夏季大会の自国開催とあり、日本代表への期待も大きい。選手選考が本格化するのはこれから。代表争いは激しさを増し、五輪本番を前にさまざまなドラマが生まれそうだ。 (森合正範、磯部旭弘)

◆柔道男子66キロ級 1枠求め世界トップ2

昨年11月、柔道GS大阪大会の男子66キロ級決勝で対戦する丸山城志郎(左)と阿部一二三

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 過酷な代表争いを繰り広げているのが、柔道男子66キロ級の2017、18年世界王者の阿部一二三(日体大)と昨年世界覇者の丸山城志郎(ミキハウス)だ。日本男子の井上康生監督は「世界最高峰の争い。どちらが代表でも金を取れる」と言うほど。1枚しかない五輪切符は、同時に金メダルを意味する。

 全日本柔道連盟(全柔連)は代表選考方式を従来の4月選考から、五輪本番への準備期間を十分確保するため、昨年11月、今年2月、4月の3段階選考に変更した。2月の欧州遠征で丸山が勝てば決着は濃厚だが、阿部が意地を見せれば、従来と同じ4月の選考会までもつれる消耗戦に。金野潤強化委員長は「酷使しないよう配慮しなければ」と本番への影響を懸念する。

◆バド女子複 福島・広田、永原・松本組リード

 2枠を争うバドミントンの女子ダブルスも熾烈(しれつ)だ。1年間と長丁場のポイントレースは、4月末まで世界ランキング1位の経験がある3組が競う。現状は福島由紀、広田彩花(さやか)組(アメリカンベイプ岐阜)、永原和可那、松本麻佑組(北都銀行)が優位。2016年リオデジャネイロ五輪金メダルの高橋礼華(あやか)、松友美佐紀組(日本ユニシス)が追う展開となっている。

バドミントン女子ダブルスの代表争いで優位に立つ福島由紀(左)、広田彩花組

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永原和可那(右)、松本麻佑組=いずれも昨年12月、中国・広州で(共同)

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昨年11月、駒沢体育館で試合に臨む高橋礼華(右)、松友美佐紀組

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◆陸上男子100メートル 予想は不可能

 陸上男子100メートルは代表の3枠を巡り、かつてないハイレベルな争いになる。日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(米フロリダ大)、桐生祥秀(日本生命)、小池祐貴(住友電工)の9秒台トリオに加え、3大会連続五輪を目指す山県亮太(セイコー)、17年世界選手権で準決勝に進んだ多田修平(住友電工)とケンブリッジ飛鳥(ナイキ)が狙う。6選手はいずれも日本歴代10傑の好記録を持つ。

 決戦は6月の日本選手権。3位以内に入り、参加標準記録(10秒05)を突破していれば内定する。2大会連続のメダル獲得を目指す400メートルリレーの代表にもつながるため、調整力と勝負強さが問われる。

◆競泳 波乱起こるか

 一発勝負の中でも高いハードルを設けているのが競泳だ。4月の日本選手権の決勝で、五輪の決勝進出が見込める「派遣標準記録」を突破し、2位以内に入ることが条件。04年アテネ五輪から採用した方式で、世界的に見ても厳しいタイムを課している。

 4年前には、2大会連続で平泳ぎ2冠の北島康介がリオデジャネイロ五輪の出場を逃し、現役引退を決断する波乱も起きた。トップ選手の多くはピークを合わせるため、2月から3月にかけて標高2000メートル以上の高地で合宿に臨む。

 19年世界選手権の金メダリストのみ一足早く代表権をつかめる要件も設けられており、瀬戸大也(ANA)が男子個人メドレー2種目ですでに代表入り。この2種目は代表枠が一つしか残されておらず、リオ五輪の400メートルで金メダル、200メートルで銀メダルの萩野公介(ブリヂストン)は「金メダルの目標を変えることはない」と狭き門の突破を目指している。

◆金、過去最多上回る勢い 本紙予想

 東京五輪は史上最多の33競技339種目が行われる。日本勢がいくつメダルを取れるか。本紙の担当記者が昨年の世界選手権などの結果を基に金メダル数を予想すると、過去最多の1964年東京五輪、2004年アテネ五輪の16個を上回る勢いがある。 (東京五輪取材班)

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 大会前半の主役は柔道だろう。男子の軽量級の3階級、女子の阿部詩(日体大)、素根輝(環太平洋大)、混合団体などで6個は固い。競泳は瀬戸が男子400メートル個人メドレーで頂点が現実味を帯びる。大橋悠依(イトマン東進)、渡辺一平(トヨタ自動車)が奮起すれば複数個の金も夢ではない。

 後半はレスリングが活躍しそう。女子57キロ級の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)は連覇が濃厚。女子50キロ級は海外勢に無敗の須崎優衣(早大)が3月のアジア予選で代表を決めれば、五輪も制する力がある。バドミントンもメダルラッシュが期待される。男子シングルスで世界選手権2連覇の桃田賢斗(NTT東日本)はマレーシアで交通事故に遭う不運に見舞われたが、順調に回復すれば金メダルの大本命。女子ダブルスは、どのペアが代表になっても金メダルを取れる力がある。

 陸上のメダルは鈴木雄介(富士通)ら競歩勢が中心。注目の男子400メートルリレーは現状で銀どまり。個々の走力をワンランク上げられるか。卓球は初採用の混合ダブルスに挑む水谷隼(木下グループ)、伊藤美誠(スターツ)組が金に近い。シングルス、団体も含めて中国選手を撃破できるかが鍵になる。

 「台風の目」になりそうなのが東京五輪の追加種目。空手の形は男女ともに金。特に男子の喜友名諒(劉衛流龍鳳会)は全種目の中でも最も頂点に近い位置にいる。スポーツクライミングは世界選手権男子複合を制した楢崎智亜(TEAM au)が本命だ。

 球技は3大会ぶりに復活した野球、ソフトボールが頂点をうかがう。ソフトボールは大舞台でこそ真価を発揮するエース上野由岐子(ビックカメラ高崎)が、12年前の北京五輪を再現するような投球を見せてくれるだろう。

 世界一を狙える選手がいるスケートボードやフェンシングも含めて数えていくと、現状で金メダルは24個前後が見込まれる。銀は28個ほど、銅は30個ほどと予想し、総メダル数は80個を超す見通しだ。日本オリンピック委員会(JOC)が目標に掲げる金30個以上は現状で厳しそうだが、より力を伸ばしたり、思いも寄らない新星が現れれば、さらなる上積みも可能だろう。

◆東京五輪金メダルが期待される主な選手と種目

 柔道 阿部詩、素根輝、混合団体ほか

 レスリング 須崎優衣、川井梨紗子、文田健一郎

 競泳 瀬戸大也、大橋悠依

 バドミントン 桃田賢斗、女子ダブルス

 陸上 鈴木雄介

 空手 喜友名諒、清水希容

 クライミング 楢崎智亜

 テニス 大坂なおみ

 野球 ソフトボール

◆選手、覚悟と決意

 五輪開幕を半年後に控え、選手の言葉に一層の覚悟と決意がにじんだ。

 柔道男子73キロ級でリオデジャネイロ大会に続く2連覇を目指す大野将平(旭化成)は「より近づいてきたことを実感する。リオ五輪からの経験値があるのでやるべきことを分かっている」と自信を示した。

 競泳の男子個人メドレー2種目で代表に決まった瀬戸は「五輪は待ってくれない。やることは決まっている。後悔しないように過ごしたい」と述べた。バドミントンで日本勢の2大会連続優勝が懸かる女子ダブルスの福島は「半年後に五輪のコートに立てるように今を全力で頑張りたい」と足元を見つめる。

 全競技の先陣を切り、開会式に先立つ7月22日開始のソフトボールは日本戦で幕開け。前回採用の2008年北京大会に続いてエースを任される上野は「私にとって集大成。チーム一丸となった強さを出せるようにしたい」と力を込めた。

 陸上の男子競歩は全2種目制覇が期待される。昨年の世界選手権で50キロ優勝の鈴木は「思い描いたベストパフォーマンスができるように精進したい」と言い、20キロの世界王者、山西利和(愛知製鋼)は「まずはベースを上げていく」と冷静に話した。

 

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