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【ニュースあなた発】

点字ブロック上 危ない? 駅ホーム「内側にお下がりください」

東京メトロ護国寺駅のホームドア前に設置された黄色い点字ブロック=東京都文京区で

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◆鉄道各社「問題ない」 国の指針で整備

 駅ホームに電車が近づくと流れる「黄色いブロックの内側にお下がりください」というアナウンス。千葉県松戸市の本紙読者で鍼灸(しんきゅう)師の石崎卓さん(69)は、これを聞いてふと疑問を抱いた。「目の不自由な人が頼りにして歩く線が、立ち止まっては危ない所に引いてあるってこと?」。自身は視覚障害者ではないが、だんだん心配になってしまったという。さっそく調べてみた。 (小形佳奈)

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 本紙が首都圏の鉄道各社に列車接近時の案内についてアンケートしたところ、ほぼ全社が冒頭のようなアナウンスをしていることがわかった=別表。

 「点字ブロックの上は危ないの?」。件(くだん)の質問をぶつけてみると、鉄道各社は「問題ない」と即答した。「国のガイドラインに沿って整備しているから」というのがその理由。二〇〇七年以降のガイドラインでは点字ブロックをホームの端から八十〜百センチの位置に敷くよう定めている。

 国土交通省安心生活政策課の担当者は「そこから先に出ると転落の危険性があるということであって、ブロックの上は危険ではありません」と説明する。

 ではなぜアナウンスは「内側」に下がるよう言うのか。東武鉄道の担当者は「視覚障害者が歩行の頼りにするので、電車を待つ方にはさらに内側に下がってもらうよう案内している」と説明する。他も同様の理由という。つまり、「目の不自由な人が安全に歩くために道を空けてね」というメッセージでもあるようだ。

 このアナウンス、かつては「白線(黄線)の内側に」という案内が一般的だったという。一六年八月に東京メトロ銀座線青山一丁目駅で起きた転落死亡事故などをきっかけに、鉄道会社や当事者団体でつくる国の検討会が「点状ブロック上に人が立ち止まらぬような放送内容」への変更を提言。多くの社がアナウンスの表現を「線」から「ブロック」に変えていた。

一本線でホームの内側を示す「内方線」付きの点字ブロック=都内で

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 とはいえ、線路まで八十〜百センチというのは、果たして安全な距離なのか。

 日常的に白杖(はくじょう)を使う日本盲人会連合情報部の三宅隆部長(46)は「ブロックを越えて一、二歩でホーム端との認識は(視覚障害者に)広まっているので、現状のままでいい」と指摘する。

 一方、「近年のホーム事故の多くはブロック沿いを歩いて起きている」と指摘するのは、筑波大付属視覚特別支援学校の宇野和博教諭(48)。事故当時の青山一丁目駅にも、翌年転落死亡事故のあったJR京浜東北線蕨駅にも、点字ブロックはあったという。ブロックのどちらがホーム中央寄りかを示す「内方線」も付いていた。「乗りたい車両にたどり着くために、線路までわずか一メートル弱の危険な場所を歩かざるを得ない。ホーム中央に安全に移動できるブロックがあるべきだ」と訴える。

 同校最寄りの東京メトロ有楽町線護国寺駅には「周辺の視覚障害者団体からの要望で」(同社広報)ホームのほぼ中央に線路と平行に点字ブロックが敷いてある。他の鉄道でもできないものか。「可能だが、ホーム幅が狭い駅の階段、待合室付近は検討が必要」(小田急)、「ガイドラインを順守しており、可能・不可能の判断ではない」(西武)などの回答だった。

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