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【ニュースあなた発】

無賃乗車 泣き寝入り 福岡 タクシー運転手、相次ぎ被害

「乗り逃げは絶対にやめて」と運転手は語る

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 「人気お笑い芸人のブルゾンちえみさん似の女性に乗り逃げされた」。福岡市のタクシー運転手の男性(60)から悲痛な訴えが届いた。常習犯の疑いもあり、タクシー協会が注意を呼び掛ける事態になっている。取材を進めると、タクシー業界の苦しい現状が見えてきた。

 男性はドライバー歴八年。昨年三月ごろ、明け方に同市中心部の歓楽街、中洲のラーメン店前から一人の女性を乗せた。女性は三十歳前後で、おかっぱ頭。色白で、身長は一六五センチくらいだった。

 同市東区のマンションに着くと、女性は「お金がないので取ってくる」と言って車を離れた。十分、二十分と待つが、一向に戻ってこない。タクシー代は約二千四百円。メーターが回った売り上げは会社に納めねばならない。男性は報告せず、自腹を切ったという。

 被害者は男性だけではなかったようだ。

 福岡市タクシー協会は昨年九月、「乗り逃げ事案の発生・手配について」という文書を加盟各社に配った。乗り逃げした人物とみられる実名を挙げ、乗務員の主観として「『ブルゾンちえみ』を崩した感じの女性」とある。

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 文書によると、女性は九月四日朝、中洲から同市東区のマンションまで乗車。「お金がないので家から持ってきます」と住民基本台帳カードを運転手に見せ、住所や氏名などを告げた上で降車した。その後、姿を見せず、運転手が部屋に行ったものの連絡が取れなかった。警察に相談すると「女性が実際の住所などを告げており、直ちに詐欺事件として扱うのは難しい」と言われたという。

 記者は文書にも掲載されている住所を訪ねた。まだ真新しい九階建て。オートロックの外から女性の部屋のインターホンを何度も押したが、反応はなかった。

 運転手が警察に届けた場合、事情聴取のため数時間動けなくなる。その時間の売り上げも得られない。「運転手の間では、数千円なら乗り逃げされても会社や警察に伝えず、泣く泣く自腹を切るケースが少なくない」と男性は明かした。

 インターネット上でも話題になった。ブルゾンさんもテレビのバラエティー番組で「福岡県でタクシーの無賃乗車をする女性がいるらしい」と明かした。「私じゃないです。早く捕まれー!」

 協会によると、最近は新たな被害の報告はないというが、こうした無賃乗車はタクシー運転手にとって笑い事ではない。

福岡市タクシー協会が加盟各社に注意を呼び掛けた文書(写真の一部を加工しています)

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 厚生労働省の調査によると、二〇一七年の男性運転手の年間賃金は推計三百三十三万二千九百円で、全産業男性労働者(五百五十一万七千四百円)の六割ほどだ。一方、年間労働時間は全産業と比べて八十四時間長い二千二百六十八時間。男性運転手の平均年齢は五九・四歳で「年金生活で、最低賃金以下でやっているドライバーも多い」と福岡市のベテラン運転手の男性(71)は話す。

 酔っぱらい客に絡まれて脅されるなど、危険を感じることもあるが、この男性の月給は二十万円弱。中には十万円を切る同僚もいるという。「こっちも生活が懸かっている。少ない金額でも立派な犯罪だと分かってほしい」 (西日本新聞)

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