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【ニュースあなた発】

無くならない差別的発言・暴露 性的少数者の尊厳を守る職場に

指針素案の修正を求めるLGBT法連合会の神谷悠一さん(右から2人目)ら=東京都内で

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 「性的マイノリティーです。職場の上司や同僚が差別的な発言をしてきます」。関東地方の四十代男性から「ニュースあなた発」にこんなメールが届いた。政府は、職場でのパワハラやセクハラを防止する法律の施行に向けた指針作りを進めるが、LGBTなど性的少数者への対策は不十分だと、当事者らから不満の声が出ている。 (奥野斐)

 男性は同性愛者(ゲイ)で、県庁に勤務している。「働きやすい職場になるよう問題提起したい」と匿名を条件に取材に応じた。

 自身がゲイであることは、職場に伝えていなかった。「なんで結婚しないの」「彼女は?」。上司や同僚にしつこく聞かれた。LGBTの話題で、同僚らが「気持ち悪い」「おまえも(言い寄られないように)気を付けろよ」と話しているのも聞いた。

 男性は「不快だった。飲み会などの誘いは断り、できるだけ同僚と話さないようにしていたが、我慢の限界だった」と振り返る。

 本紙にメールを送ったのを機に、同僚らとの飲み会でゲイだと打ち明け、「いいかげんにやめてほしい」と訴えた。「皆びっくりした感じで、本当にそういう人がいるんだという反応だった」と話す。

 同僚の一人は後日、「申し訳なかった」と謝ってきたが、飲み会に同席していた上司が男性の了解なく、ゲイだと暴露する「アウティング」をしてしまい、飲み会にいなかった同じ部署の職員数人にも知られてしまった。

 男性は、庁舎内の人権担当部署と総務課に相談したが、外部の相談窓口を紹介されたり、ハラスメントの事実確認の過程で、ゲイであることを明かすことになるとも言われた。

 県の総務課の担当者は「職員からのハラスメント相談は外部の臨床心理士も含め四つの窓口で対応しており、本人の了解を得られれば、加害者側に聞き取り調査もする」と説明する。だが、対応の仕方に配慮を欠けば、知る必要のない人に伝わってしまうなど、当事者をより傷つけることにつながりかねない。

 男性は「当事者がいようといまいと、職員がLGBTへの差別的な言動をしないように研修などの取り組みを進めてほしい。窓口だけあっても、当事者の問題の解決にはならない。誰もが安心して過ごせる職場にして」と求めている。

◆「防止策は不十分」当事者団体が指摘

 職場のLGBTへの差別やハラスメント対策では、五月に女性活躍・ハラスメント規制法が成立。来年六月に施行予定の同法で、大企業にパワハラの防止が義務付けられるのを前に、厚生労働省は十月下旬に指針素案を公表した。

 この素案を巡り、LGBT法連合会(東京)などは「性的指向、性自認によるハラスメントを防ぐには不十分」との声明を出し、修正を求めた。

 素案では性的指向・性自認に関するハラスメントを「相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な発言」としか例示していない。例示の「相手」とは「当事者」を指す場合が多くなる。

 このため、本紙にメールを寄せた男性のように、周囲に打ち明けていない状態で受けた差別的な言動が、ハラスメントの対象外となる可能性がある。

 同連合会の神谷悠一事務局長は「当事者かどうかにかかわらず、性的指向・性自認に関するハラスメントは全て含めるよう明記してほしい」と訴える。

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