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【東京新聞フォーラム】

尚美学園大学20周年記念「スポーツマネジメントの未来」 健康・感動、社会に勇気

オープニングに登場した「HIBI★Chazz−K」のメンバー。右端は富澤一誠さん=東京都千代田区の日本プレスセンターで

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 尚美学園大学二十周年記念・東京新聞フォーラム「スポーツマネジメントの未来」(尚美学園大学、東京新聞主催)が九日、東京都千代田区の日本プレスセンターで開かれ、スピードスケートの長野冬季五輪金メダリスト、清水宏保さんが基調講演した。パネルディスカッションでは、谷野哲郎東京新聞運動部長のコーディネートで、清水さん、元バドミントン五輪代表の池田信太郎さん、バスケットボール千葉ジェッツ社長の米盛勇哉さん、同大教授の小泉昌幸さんがスポーツ産業の未来について議論し、約二百人が耳を傾けた。

◆主催者あいさつ 尚美学園大・久保公人学長

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 尚美学園大学は「音楽の尚美」で始まり、川越の地で二十年目を迎えます。来年四月にはスポーツマネジメント学部を創設し、音楽をはじめとする芸術、スポーツ、ビジネスの三本柱で人材を育成する新たな出発点になります。これからますます必要とされる人材を育てるために頑張りたいです。

◆主催者あいさつ 東京新聞・菅沼堅吾代表

 尚美学園大学二十周年という大きな節目の年に、共催という新たな形で東京新聞フォーラムを開催でき、感謝しています。今日は入り口に花が飾られ、かつてない華やかなフォーラムになりました。関係者の皆さまにあらためてお礼を申し上げます。

◆オープニングトーク HIBI★Chazz−K 音楽評論家・富澤一誠さん

 オープニングトークでは、サックス・アンサンブルのHIBI★Chazz−K(ひびちゃずけ)と尚美学園大学副学長で音楽評論家の富澤一誠さんが「スポーツと音楽の親和性」について対談した。

 冒頭に「東京五輪音頭」をジャズにアレンジしたHIBI★Chazz−Kの演奏が動画で紹介され、富澤さんが音楽の持つ効果を強調。1964年の東京五輪で繰り広げられた場面を振り返り「(スポーツの)映像が音楽と共に浮かんでくるのでは」と来場者に呼び掛けた。

 続いてHIBI★Chazz−Kのメンバー5人も登壇。リーダーのひび則彦さんは、スポーツのテーマ曲の果たす役割について「スポーツの感動を思い出せること」と語った。また、音楽には有酸素運動の疲れを和らげる効果もあると述べた。

<ひびちゃずけ> 「東京五輪音頭」などスポーツ関連の名曲をカバーしたアルバム「VIVA!SPORTS!!」で注目を集める。

<とみさわ・いっせい> 尚美学園大学副学長、音楽評論家。フォークからJポップまで幅広い音楽評論で知られる。

◆清水さん講演 「第二の人生」地域に貢献

 スポーツ選手は現役引退後にどのような人生を歩めば良いのか−。「セカンドキャリア」を描けず、将来に悩むスポーツ選手は多いが、けがと向き合った選手時代の経験を生かせば、医療や介護の現場で役立てる。

 そもそも、スピードスケートを始めたのは、幼少期に患ったぜんそくを治すことがきっかけ。選手時代には交通事故に遭って、腰の痛みを抱えながら五輪に挑んだ。

 病気やけがと闘ってきた経験を地域に還元したい。引退後はそんな思いが芽生えた。医療系の大学院に進学し、卒業後に地元の北海道に戻って、デイサービスのリハビリ施設や訪問看護ステーションなどを開設。スポーツ選手としてトレーニングを積んだ経験を医療現場に取り入れた。

 健康を維持するには運動が欠かせない。運動不足や不摂生な食生活は、年を取ってから寝たきりやがんの原因になる。効率的な運動方法を教えるのはスポーツ選手の役目。お年寄りにリハビリを提供したり、子どもたちに運動の指導をしたりするなど、医療とスポーツを「融合」できれば、多世代の健康づくりに貢献できるはず。

◆パネルディスカッション 多分野につながる「仕掛け」を

 谷野 スポーツマネジメントとは何か。医療、食、ビジネス、教育の四つのキーワードからひもときたい。最初は医療。

 清水 海外では運動施設に行くなど自分に百円投資することで、三百二十円の医療費が削減されるというデータがある。運動実施率を上げれば、医療費の抑制につながるのではないか。それが医療とスポーツの融合を考える始まりだった。東洋、西洋医学を組み合わせる統合医療を掘り下げると運動やスポーツが関わるので、自分もその部分でビジネスできないかと考えた。また、五輪でメダルを取った自分が今後を考えているのに、そうでない後輩たちはどうするのかと。選手の次の人生設計を作れたらと思った。

 谷野 セカンドキャリアはどのスポーツも共通の問題。池田さんはレストランのプロジェクトディレクターもされている。

 池田 東京五輪・パラリンピック組織委員会のアスリート委員会に加わった。選手村の食堂などの運営リーダーで、さらに飲食戦略委員。選手村のメニューでは栄養構成、宗教やアレルギーに配慮している。今回初めてメインダイニングとカジュアルダイニングができる。また選手村の皿は紙皿。プラスチックは、なるべく使わないようにしないといけない。

 谷野 米盛さんが千葉ジェッツに入った経緯は。

 米盛 バスケをやってきたが、社会人になってBリーグを見るうちに熱狂や感動を提供する立場になりたいと思った。

 谷野 どうやってトップレベルに引き上げたか。

 米盛 何に対してお金を払ってもらうか、応援したい気持ちにさせるかを考えた。もともと市民チーム。周囲には実業団クラブがあり「市民クラブで実業団に勝とう」というストーリーを作った。あとは勝敗にかかわらず楽しんでもらうこと。アリーナビジネスは天候に左右されず、音も響かせられる。

 谷野 スマホを使ったビッグデータも生かしている。

 米盛 例えば二十代の女性ファンが多いというデータがあれば、そこに刺さりやすいグッズ、服を作るなどしていく。

 谷野 四番目が教育。スポーツマネジメント学部はいつから構想していたか。

 小泉 約二年前。効果的に光や音楽を使い、試合をショーアップするマネジメントができるような学生を育てたい。最近、スポーツが社会に勇気を与えると言われるようになった。ラグビーW杯でも顕著だった。そこにも仕掛けがあると思う。

 谷野 スポーツマネジメントにはどんな人材が必要か。

 米盛 スポーツマネジメントへの熱い思いを持っているかどうか。スポーツマネジメントの機能を認識して、感動を提供する立場に回りたいという思いが重要かなと思う。 (敬称略)

清水宏保さん

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<しみず・ひろやす> 元スピードスケート五輪代表。長野で金、ソルトレークで銀メダル獲得。引退後は医療、介護関連ビジネスなどで活躍する。

池田信太郎さん

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<いけだ・しんたろう> 元バドミントン五輪代表。現在、東京五輪・パラリンピックのアスリート委員会で選手村の食堂などを担当。

米盛勇哉さん

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<よねもり・ゆうや> 証券会社や投資ファンド等を経て2019年3月に千葉ジェッツ入社。同年8月に社長就任。

小泉昌幸さん

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<こいずみ・まさゆき> 尚美学園大学教授、来年4月開設の同大スポーツマネジメント学部の学部長に就任予定。

<スポーツマネジメント> スポーツ産業をビジネスとして発展させたり、振興に貢献する役割を担う仕事。科学的分析によるアスリートの強化、健康維持のための運動指導、プロのスポーツ団体の運営など、職種や業種も多岐にわたる。元アスリートのセカンドライフ設計も重要な領域。

 

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