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【群馬】

南牧村の秘湯 68年ぶり復活 有志が改装、古民家を日帰り施設に

ヒノキを使った風呂。温泉は源泉掛け流しが自慢

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 高齢少子化が進む南牧村で今月、かつて住民に親しまれた秘湯が六十八年ぶりに復活した。深刻な人口減少に悩む地域を何とかしようと、村内外の有志が古民家を手づくりで改装し、日帰り温泉施設の開業にこぎ着けた。メンバーは「憩いや交流の場として親しんでもらい、人や地域のつながりを広げたい。若者が定住できる雇用を生み出せれば」と期待を込める。 (石井宏昌)

 施設の名は「星尾温泉 木の葉石の湯」。村の最も西北部で、長野県境に位置する星尾地区にある。山に囲まれた谷間の集落で、斜面に築かれた石垣の上に民家が並ぶ。大きな岩と石垣の上に立つ築百年以上の古民家が温泉施設だ。

 地区には地元で「塩水鉱泉」と呼ぶ温泉が湧き、一九五〇(昭和二十五)年まで集落の公衆浴場があったという。住民の憩いの場として親しまれたが、廃止されたままになっていた。この温泉を生かして地域の活性化を図ろうと、同地区で古民家民宿を営む米田優さん(71)が代表となって昨年四月、温泉復活のプロジェクトを立ち上げた。

 米田さんは「豊かな自然や谷の集落など日本の原風景がある」と村に魅了され、妻の道子さん(73)と十二年前に千葉県から移住。しかし村は高齢少子化や人口減少が進み、総務省の住民基本台帳に基づく調査(今年一月一日現在)では高齢化率が61・63%で全国一位。中でも村最奥部の同地区は顕著で「このままでは集落が消滅してしまう」と心を痛めていた。

 県内外からの誘客や地域交流、若者の雇用創出につなげようと、住民や移住者、知人らにプロジェクト参加を呼び掛け、中心メンバー十三人が集まった。インターネットのクラウドファンディングでも資金を募り、ボイラーを調達。古民家を借り、床の張り替えやヒノキ風呂を造るなど改装し、源泉から湯を引き込む配管約百八十メートルもメンバーで敷設した。

古民家を活用して復活させた「木の葉石の湯」。左から米田優さんの妻道子さんと米田さん、小保方努さん、松林建さん=いずれも南牧村で

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 温泉は源泉掛け流しが自慢。一五度ほどの湯を加熱する。湯は透明だが鉄分を含み、空気に触れて茶色になる。源泉近くでは温泉成分のカルシウムが石に付いた木の葉を凝固させる現象が見られ、地元で「木の葉石」と呼ばれているという。ここから施設の名を取った。地元食材を使ったレストランや休憩所も設けた。

 八日の開業日には県内外から客約二十人が訪れ「ぽかぽかと温まる」「古民家の雰囲気が素晴らしい」などと好評で、問い合わせの電話も相次いだという。

 米田さんは「法令の手続きも必要で、開業まで本当に苦労した。ほっとした」とにっこり。「お客さんの意見を聞きながら施設を充実させ、若い人の雇用の場をつくり、集落を維持、再生したい」と話す。

 施設代表の小保方努さん(42)も約六年前に太田市から村に移住した。小保方さんは「若者がもっと村に来て、村内外の人のつながりが広がるように活動したい」。スタッフで昨年十月に都内から移住した松林建さん(51)も「県内外の多くの人に来てもらうために知恵を絞りたい」と話した。

 営業は午前十一時〜午後八時(受け付けは午後七時半まで)、中学生以上千円(四歳〜小学生五百円)。月曜定休。問い合わせは米田さん=電090(1558)2899=へ。

 

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