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【群馬】

木版画で見るアジア民主化 来月24日までアーツ前橋で企画展

足尾銅山鉱毒事件を版画で表現した小口一郎の作品などが並ぶ会場=前橋市で

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 アジアの政治、社会運動の中で制作された木版画を展示する企画展「闇に刻む光 アジアの木版画運動1930s−2010s」が2日、前橋市千代田町5丁目のアーツ前橋で始まった。韓国の民主化運動やベトナム戦争など社会的テーマを題材にしたアジア各国の作品約400点を間近で見ることができる。3月24日まで。 (市川勘太郎)

 木版画は特殊な素材や道具を必要とせず、安価に複数の作品を印刷できることから、近現代のアジアでは美術の世界を超え、社会運動と結びつきアジアの近代化に重要な役割を果たした。一九三〇年代には中国の文学者魯迅(ろじん)(一八八一〜一九三六年)が木版画を推進し、日本では戦後の民主化運動の中で木版画が盛んに制作されるようになった。

 栃木県出身の版画家小口一郎(一九一四〜一九七九年)が足尾銅山鉱害事件を題材に制作した「野に叫ぶ人々」は、公害に苦しむ農民が政府に抗議しようと立ち上がる様子を力強く表現した。

 韓国の民主化運動に影響を与えたとされる版画家洪成潭(ホンソンダム)の作品も見どころだ。

 八〇年五月、韓国・光州市で軍の武力攻撃により多くの市民や学生が犠牲になった「光州事件」を題材にした「五月−25 大同世−1」は、武器を手に蜂起した市民を描く。同作品を含め、当時の軍事独裁政権下では報道されなかった事件の実像を伝える五十点を展示している。

 同館の住友文彦館長は「木版画は、誰もが情報を発信できる現代の会員制交流サイト(SNS)の先駆け的存在。作品を通して周辺諸国の文化や歴史の背景を知ってもらうきっかけになれば」と話している。

 開館時間は午前十一時〜午後七時(入場は午後六時半まで)。一般五百円、学生と六十五歳以上は三百円、高校生以下は無料。

 

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