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【群馬】

一般会計19年度予算案 県債残高1兆2679億円

 県は七日、二〇一九年度の一般会計当初予算案を発表した。同年度末の県債残高は一兆二千六百七十九億円(前年度末比百九十八億円増)と過去最高を見込み、県民一人当たりの借金は約六十五万円。県税収入が伸び悩むにもかかわらず、人口減少と高齢化に伴う社会保障関係費が増大する中、次世代に過重な負担を積み増し続けている。 (菅原洋)

 県債残高の内訳は、財政難の国が地方交付税を支給できず、後に充当する「臨時財政対策債」(臨財債)が過去最高の五千六百二十六億円に膨らむ。臨財債の単年度発行額は減るが、過去の起債が残高全体を押し上げる。

 さらに、防災・減災緊急対策に関係する県債を新たに百四十九億円発行するため、臨財債を除く「その他の県債」残高も二年連続で増加。防災・減災対策の県債は県の負担が少ない事業債で、水害や土砂災害などに備える。

 一般会計の総額は七千五百十一億円(前年度当初比2・5%増)となる。

 歳入のうち、県債は単年度の発行額が、防災・減災対策の県債が加わるために千百二十五億円(同7・8%増)と膨らむ。

 他の歳入では、県税収入が二千四百五十億円(同1・2%減)。自動車取得税が廃止されるなど、税制改正の影響を受ける。

 一方、歳出では、高齢者の介護や保育関連などの費用が膨らみ、社会保障関係費が千三十三億円(同3・6%増)と過去最高になる。公共事業費・投資的経費は、防災・減災対策や、高崎市の高崎競馬場跡地に建設中の集客施設「Gメッセ群馬」などが要因となり、千二百七十億円(同14・3%増)と過去十年で最高額となる。

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◆臨財債の抑制を

<解説> 二〇一九年度一般会計当初予算案で最大の問題は、同年度末の県債残高が過去最高を更新し続けるにもかかわらず、県債の単年度発行額を千百億円以上と前年度当初比8%近くも増額する点だ。臨時財政対策債(臨財債)と「その他の県債」の残高がいずれも膨らむのは深刻な状況と言え、県財政の構造的な問題が膠着(こうちゃく)化している。

 さらに、財政安定化の指標となる基礎的な財政収支「プライマリーバランス」は、臨財債を含めると県債の発行などを要因に百億円以上も赤字に転落する。

 臨財債には国が示す発行の上限額があり、ほぼ満額を起債する自治体も多い。ただ、上限額まで発行する必要はなく、神奈川県は一七年度に発行額を上限額より五十五億円近くも抑え、削減に取り組んでいる。同県は「臨財債は県としての借金であることは変わりがない」と説明している。

 一方、群馬県は臨財債によって国が実質的に地方交付税を肩代わりすることに安住し、今回の予算案を含めて上限額いっぱいの発行を繰り返している。

 しかし、国は臨財債の返済費用をひねり出すため、新たに借金を抱える「自転車操業」の状態にある。結局、国民の借金として県民に負担が跳ね返るだろう。

 国の借金は一八年九月末時点で約千九十一兆七千六百八十五億円という膨大な金額だ。国民一人当たりでは、八百数十万円という全く返済が見通せない危機的な状態が続く。

 県債残高を抑制するには、Gメッセ群馬や八ッ場ダムという大型公共事業が一段落するこれからが好機だ。二つの事業を推進してきた大沢正明知事の退任後、県は抜本的な財政の健全化に向けて真剣に取り組むべきだ。(菅原洋)

◆注目の事業

 【新規】

 ■群馬に外国人材を呼び込むプロジェクト(千六百万円)

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が四月に施行されるのに合わせ、技能実習生らの実態調査や就職の合同企業説明会などを実施する。

 ■多文化共生総合相談窓口の設置・運営(千九百万円)

 外国人の生活を支援するため、県観光物産国際協会に通訳者を置いた窓口を開設する。

 ■わくわくぐんま生活実現支援(三億八千八百万円)

 東京圏からの移住を促進しようと、一世帯最大百万円の支援金などを設ける。

 ■オリンピック・パラリンピック推進(九千五百万円)

 聖火リレーを実施し、キャンプ国との交流事業を進める市町村には補助する。

 ■子どもの居場所づくりマッチングコーディネーター配置(二百万円)

 企業で余った食材を、子どもに食事を提供する子ども食堂に仲介する嘱託職員一人を県庁に配置する。

 ■看護師特定行為研修機関設置支援(一千万円)

 研修した看護師が医師の手順書に基づいて医療行為ができる「特定行為」について、研修機関の開設を予定する県民健康科学大に補助する。

 ■ぐんまの肉牛振興対策(千百万円)

 二〇二二年に予定する和牛オリンピックの上位入賞に向け、黒毛和牛の改良に取り組む。

 ■県立学校の情報通信技術環境整備(九千七百万円)

 高校にプロジェクターを四百二十四台、特別支援学校にテレビモニターと実物投影装置を各七十四台設置する。

 ■ぐんまの寺社魅力発掘・発信(三千百万円)

 近世の寺社を調査して冊子やアプリを作り、シンポジウムも開く。

 ■車の高齢者講習管理システム整備(四百万円)

 高齢者が運転免許の更新時に必要な認知機能検査などの待ち時間を減らすため、新システムを整備する。

 【継続】

 ■コンベンション施設整備(約百七十億円)

 二〇二〇年春の開業に向け、Gメッセ群馬の建設を進める。

 ■八ッ場ダム関連(約百九十億円)

 一九年度の完成に向けて長野原町で工事を進め、住民の生活再建も支援する。

 ■東部児童相談所の移転整備(九億九千二百万円)

 児童虐待などに対応するため太田市の相談所を移転、新たに定員三十人の一時保護所を併設する。

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