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【群馬】

<志尾睦子のそふとフォーカス> (64)両国の熱 初夏の思い出

令和となって最初の大相撲夏場所。家族の思い出がよみがえる=両国国技館で

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 大相撲夏場所が開催中だ。毎日細かくチェックするほどではないけれど、今場所はこの人が活躍しているんだなとか、誰が休場になったのかとか、注目の取組など見てはそれなりに一喜一憂する。全く詳しくはないので、多くの相撲ファンを前に、「私、お相撲好きです」とは到底言えないレベルではあるが、相撲にはちょっとした思い入れがある。

 父が相撲好きでよくテレビ放送を見ていた。定年してからというもの、地上波で流れる幕内の取組だけでなく、衛星放送で見られる幕下以下の取組もよく見ていたのが思い出される。両親が東京に移住してからは時折二人で両国国技館に見に行っていたようだから、満喫していたに違いない。

 さて、思い入れの理由となるエピソードが一つある。小学一、二年生だったと思う。そして時期も今頃。ある休日に両親から二つの行程を提案された。母親と一緒に「ちひろ美術館」に行くプランと、父親と一緒に両国国技館へ相撲を見に行くプラン、どちらかを姉と私でそれぞれ選ぶというものだった。その流れは忘れてしまったが、姉が大相撲観戦、私が美術鑑賞になった。お昼ごろ、志尾家は二手に分かれ、それぞれの目的地に向かった。私は母と美術館をとても楽しんで、夕方国技館へ向かった。

 当時は携帯もないから、きっと座席番号を確認していたのだろう、中まで父と姉を迎えに行った気がする。しかしなんで入れたのかは謎。すでに取組は終わっていて、場内に人はまばらだった。それでも建物から伝わる今終わったばかりの熱量に私はちょっと圧倒されたのを覚えている。さっきまでいた美術館とは全く違うその雰囲気を子どもながらに感じ取った私は、少しだけこちらを選択しなかったことを悔やみ、いつかまた来られるかな、と思った記憶がある。

 それから数十年たち、相撲観戦に自分から足を運ぶようになった。毎回、あの時の小さな自分を思い出しては、こそばゆく懐かしい気分になるのである。

 (シネマテークたかさき総支配人)

 

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