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【群馬】

日本のミステリー、黎明探る 高崎で企画展 横溝正史の原稿など180点

会場には雑誌や作家の経歴を紹介するパネルが並ぶ=高崎市で

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 日本のミステリー小説黎明(れいめい)期の作家の足跡をたどる企画展「ミステリー小説の夜明け−江戸川乱歩、横溝正史、渡辺啓助、渡辺温−」が、高崎市保渡田町の県立土屋文明記念文学館で開かれている。横溝正史直筆の「八つ墓村」の原稿や作家の愛用品など180点を展示している。6月9日まで。 (市川勘太郎)

 一九二〇(大正九)年に博文館から発行され、売れっ子作家の登竜門とされた雑誌「新青年」は、創刊号などを展示。横溝は二代目の編集長となり、渡辺温とともに誌面を改革し、新人発掘にも力を尽くした。

 渡辺啓助(一九〇一〜二〇〇二年)は、英語教師として、現在の県立渋川高校(渋川市)で二年間英語を教えた。新青年に多くの短編を発表するなど活躍した。江戸川乱歩(一八九四〜一九六五年)が四七年に創設した「日本探偵作家クラブ」では六〇年から第四代会長を務めた。作家らとの交流の様子が写真パネルで紹介されている。

横溝正史の「八つ墓村」の原稿(世田谷文学館蔵、県立土屋文明記念文学館提供)

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 江戸川乱歩が残した功績も伝わってくる。名探偵の明智(あけち)小五郎と怪人二十面相の対決を描いた雑誌「少年倶楽部」の連載で子どもたちに探偵小説を広めたほか、展示品で編集に携わった雑誌「宝石」では新人作家の発掘にも力を注ぎ、江戸川乱歩賞を創設した。

 企画を担当した片岡美穂主幹(40)は「作家の愛用品や直筆原稿など普段はなかなか見られないものをそろえた。群馬にゆかりのある渡辺啓助などを知ってもらい探偵小説を読んでもらうきっかけになれば」と話している。

 開館時間は午前九時半〜午後五時。観覧料は一般四百十円、大学・高校生二百円で中学生以下無料。火曜日は休館。

◆「普遍性、突き詰めたい」 創作活動や次回作など 横山秀夫さん思い語る

「普遍性について突き詰めて考えたい」と次回作への思いを語る横山秀夫さん=高崎市で

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 「クライマーズ・ハイ」や「64」などで知られる作家の横山秀夫さんが26日、県立土屋文明記念文学館で「直接聞きたい作家のはなし」と題した公開インタビューに登場し、来場者の質問に答えながら、創作活動について語った。 (石井宏昌)

 最新刊「ノースライト」は雑誌「旅」の連載を全面的に改稿した作品。「仕事場のマンションで仕事に追われ、自宅にも帰れずに心筋梗塞になった。旅という言葉を聞き、この生活を抜け出せると連載を引き受けた。旅情ミステリーの形を借りて人生の旅情を書きたいと思った」と説明した。

 自著で好きな作品に挙げたのは「クライマーズ・ハイ」。地元新聞社の記者として一九八五年の日航ジャンボ機墜落事故では墜落現場の上野村「御巣鷹の尾根」で二カ月半ほど取材した。この経験に触れ「五百二十人が亡くなった事故。一回は書かなくてはと思っていた。山(の現場)を封印することでノンフィクションとフィクションを峻別(しゅんべつ)した。(自身が体験した)山を書かないことで小説になった」と振り返った。

 次回作については「『64』が外国で読まれることが意外だった。普遍性について突き詰めて考えて、次の作品に臨みたい」と語った。 

 

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