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【群馬】

群大病院の医師3人、文書で謝罪 遺族は疑問「手術死、教訓は…」

妻の遺影に手を合わせる富岡順二さん=太田市で

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 群馬大病院(前橋市)の医師三人が四月に入院中の患者を亡くした遺族に対し、説明や対応に配慮が足りなかったとして文書で謝罪していたことが二十五日、遺族と群大への取材で分かった。群大は肝臓の腹腔(ふくくう)鏡手術などを受けた患者が相次いで死亡した問題を受け、インフォームドコンセント(治療の十分な説明と同意)に取り組んでいる最中だ。遺族は「手術死問題の教訓が生かされているのか」と疑問を投げ掛けている。 (菅原洋)

 この遺族は太田市細谷町の自動車販売業、富岡順二さん(68)。約三十五年間連れ添った妻の三恵子さん(77)を亡くした。

 順二さんによると、糖尿病と肝硬変が持病だった三恵子さんは約二十年前から群大を利用してきた。三恵子さんは昨年十一月末、治療後の経過観察のために胃の内視鏡検査を受けた。ところが、検査直後に発熱し、その後に腹水がたまるなど急激に体調が悪化した。

 このため、同十二月初めに通院したが、適切な治療が受けられず、同月中旬に入院。それ以降も病状が悪化し続け、今年四月上旬に肝不全で亡くなった。

 内視鏡検査の際、夫婦は医師に説明を受けたが、危険性を言葉で伝えられず、三恵子さんは言われるまま同意書に署名。その後の治療や入院を含めて医師から分かりやすく、納得できる説明がなかったという。

 順二さんは「医師はパソコンの画面ばかりを見て、私と妻に顔を合わせず、病状の訴えも聞いてくれた感じがしない。治療の選択肢も示さず、同意するしかなかった」と振り返る。

 順二さんがこうした対応を指摘したところ、関係した医師数人が口頭で謝罪。続いて、医療の質・安全管理部長(教授)の小松康宏医師、外来主治医、外来担当医がいずれも文書で「ご不快な思いをさせ、大変申し訳なく思います。反省して患者様の立場に立った診療を心掛けて参ります」と陳謝した。

 小松医師は取材に「コミュニケーションの在り方に配慮が欠けていた。(手術死の問題を受け)説明と同意については努力してきたが、まだまだ改善の余地がある」と述べた。

 順二さんは内視鏡検査とその後の治療で「ミスがあった」と主張。群大は謝罪した文書でいずれも「問題ない」と否定している。

 手術死の問題を巡っては、有識者らによる調査委員会が当時の説明と同意について「管理する体制が整っていない」「患者に情報が十分に伝わっていなかった」などと繰り返して不手際を厳しく指摘していた。

 こうした指摘を受け、群大は手術の危険性が高い患者らを中心に説明と同意の録音に取り組んでいる。しかし、富岡さん夫婦は録音されなかった。

手術死が相次いだ群馬大病院=前橋市で

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