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【群馬】

ハンセン病 植民地 戦前日本 二重の差別

朝鮮のハンセン病療養所にあったれんがと瓦を見学する夏休みの親子=草津町で

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 戦前の日本による植民地下で朝鮮や台湾に設立されたハンセン病療養所の監禁室を紹介する企画展が、草津町の国立療養所「栗生(くりう)楽泉園」に隣接する重監房資料館で開かれている。日本国内の療養所で患者を懲罰的に強制収容した監禁室と同じような仕組みを持ち込み、病気と民族という二重の差別を強いた歴史を伝えている。入館無料で、十八日まで。(菅原洋)

 日本の監禁室は戦前から戦後にかけ、全国各地の療養所で内部規則に触れるなどした患者を審理もせずに閉じ込めた。その最も厳重で過酷な処遇の施設が楽泉園の旧重監房だった。

 現在の韓国南西部にある療養所「小鹿島(そろくと)更生園」は一九一六年、日本政府による総督府の統治下で前身が設立された。監禁室は三五年に完成し、中は精神的な病も発症した患者向けを含めて十三室。日本の監禁室でも精神的な病もある患者を収容した歴史がある。

 更生園の監禁室内にはコンクリートの床もあり、氷が張るような冬に床へ水をまいて患者を閉じ込めたと伝わる。この監禁室は現存し、各室内の写真や平面図の複製などを並べている。

 更生園の患者懲戒検束規程は所長に監禁室収容の権限が与えられるなど、日本の規程とほぼ同じで、日本から仕組みが持ち込まれたと分かる。更生園内にあったれんがと瓦は日本で初めて展示している。

 台湾の総督府が台北郊外に三〇年に設立した療養所「楽生院」では、監禁室は現存しないが、歴史をパネルで紹介。企画展では、パネルや文献の複製など計十九点を展示している。

 重監房資料館の柏木亨介(きょうすけ)学芸員は二〇一七、一八年に計約二週間、韓国と台湾を現地調査。日本ではこれまで、アジアの療養所をテーマにした企画展が開かれたことはないという。

 柏木学芸員は「朝鮮と台湾では民族同士でなく、主権を奪った外国人の日本人に懲罰されたことになる。日本の患者とは異なる二重の苦しみがあったのではないか」とみている。

 館内では、企画展の期間に合わせて昨年見つかった重監房の内部通達文書を初公開している。資料館は三、十、十七日、楽泉園や町内の関連史跡などを巡る無料ウオーキングツアー(各日定員二十人)の参加者を募集中。二十五日までの金・土・日曜と祝日は、草津温泉バスターミナルと資料館を結ぶ無料のシャトルタクシーも運行している。

 いずれも問い合わせは重監房資料館=電0279(88)1550=へ。原則月曜休館(十二日は開館して十三日に休館)。

 

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