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【群馬】

前橋・高2死亡「生きるの苦痛」繰り返し 県教委開示 死の3カ月前の作文

亡くなった伊藤有紀さん(遺族提供)

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 前橋市の県立勢多農林高二年だった伊藤有紀さん=当時(17)=が二月に自殺したとみられる問題で、亡くなる約三カ月前に有紀さんが学校へ提出した作文に「生きるのが苦痛」と繰り返し記していたことが分かった。父親(63)は「娘のSOSだったのではないか。学校はどうして作文の内容を亡くなる前に教えてくれなかったのか。(作文提出後に)学校は娘のケアをきちんとしてくれたのか」と疑問を投げ掛けている。 (菅原洋、市川勘太郎)

 学校は三月、問題に関する基本調査結果をまとめた。しかし、両親には内容を大幅に簡略化した概要しか渡しておらず、父親が六月に全文を県教育委員会に情報公開請求し、作文は今月九日に開示された文書の写しの中に含まれていた。

 作文は「家庭基礎」という科目で、「三十年後の私」との課題で書かれた。学校の原稿用紙に有紀さんの署名がある。

 前半で「今の私は色々(いろいろ)な物事を抱えて溜(た)め込んでしまっていて、毎日暮らすことや生きることが少しばかり苦痛でつらいことがよくあります」と記述。その後「三十年後の私には、今私が感じている生きている苦痛を感じてほしくはありません」と再び書いている。

 後半でも「先生に話したりしてあまりイヤなことばかり考えないようにしていきたいです」と記し、最後には「この先を生きていきたいです」と書くなど前向きな言葉もある。

 しかし、開示文書ではこの作文などについて「いじめ、嫌がらせなどの記載はない」と指摘。教員が有紀さんから話を聞いた記録は見られない。

 有紀さんは作文を記した約三カ月前には、自宅で自殺未遂したことが既に判明しており、学校側も把握していた。

 さらに、亡くなった後に一年生の当時に書き残したとみられる二十数枚のメモが自宅で見つかっている。メモには「ずっと悪口を言っている」「私はその言葉で傷ついて泣いてきたのに」「私は人間の方がコワイ」「あなたも共犯」などといじめを疑わせる記載が多数あった。学校は基本調査で同級生に聞き取ったが、証拠はないとしていじめとは認めなかった。

 開示文書では、こうしたメモの内容を同級生に聞き取った部分は多くが黒塗りとなっている。

 有紀さんの父親は「学校は都合の悪いことを隠しているのではないか。(県教委は)一年時からのいじめを認め、学校の責任も認めて謝罪してほしい」と求めている。

開示された作文=前橋市で

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