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【群馬】

原発避難の怒り、郷愁伝えたい 福島→滋賀へ女性友人ら 高崎で詩・短歌の朗読会

冊子「小さな窓辺から」を朗読するメンバー=高崎市で(大河原厚子さん提供)

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 東京電力福島第一原発事故で、滋賀県に避難している女性が事故への怒りや郷愁を詩や短歌に託した冊子「小さな窓辺から」の朗読会が先月末、高崎市であった。群馬在住の友人らが風化にあらがおうと企画した。東日本大震災から十一日で八年半。朗読したメンバーは「避難している人のつらさや原発事故は終わっていない。忘れないために今後も続けたい」と話す。 (石井宏昌)

 冊子は福島県南相馬市から大津市へ避難した青田恵子さんが事故前から趣味にしていた布絵や、事故後につづった詩や短歌を友人らがまとめた。二〇一四年九月に第一刷発行後、口コミで広がり、今年四月までに二十三刷を重ねた。

 青田さんは福井原発訴訟にも加わり、冊子には電力会社への怒りを込めた作品も。収められた「拝啓関西電力様」では、福島県の方言の相馬弁で「エアコン止めで、耳の穴かっぽじって よーぐ聞け」「原発は 田んぼも畑も海も 人の住む所も ぜーんぶかっぱらったんだ」と激しく表現。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を引き合いにした「雨にもマケル」では「ほめられもせず 帰ることもできず そういう『わたし』」とアイロニーに包んで憤りと悲しみをつづった。

 青田さんの高校時代の同級生で、館林市在住の宮城英子さん(69)が冊子を知り、友人で避難者の支援や相談活動に関わっていた大河原厚子さん(69)=高崎市金古町=に紹介。

 大河原さんが文学仲間に呼び掛けて開いた先月三十一日の朗読会には約二十人が集まり、二胡(にこ)の演奏も。大河原さんは「相馬弁の切々とした訴えに涙を流す人もいた」と手応えを口にする。

 避難者がつづった作品をテーマにした朗読会は昨夏に続いて二回目。前回は福島県浪江町から静岡県に移り住んだ夫妻が自費出版した絵本「手紙 お母さんへ」を、夫妻の知人で浪江町から高崎市へ避難した女性が朗読した。

 大河原さんは「作品を通して避難を余儀なくされている人の思いを受け取りたい。別の作品を扱うことになっても会は続けたい」。宮城さんは「原発の問題を人ごとではなく、自分のこととして捉え、考える機会にしてほしい」と話した。

 

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