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【群馬】

<志尾睦子のそふとフォーカス> (86)スイスの風に誘われて(下)

思えば私のスイスの入り口は、十数年前に大御所からいただいたこの本。来年のために再読

写真

 「ヘルヴェティカ・スイス映画祭」は四日から三日間、東京都写真美術館(東京・恵比寿ガーデンプレイス内)で開催された。

 スイスで開催している「GINMAKU日本映画祭」のことを知ったのが夏の初め。その主催者が今度は日本で映画祭をすると分かってから、この日を待ち遠しく思っていた。主催者の松原美津紀さんが発信する会員制交流サイト(SNS)で情報収集しながら、日を過ごした。映画祭にも行きたいが、この人に会いたいという思いは日に日に募った。

 映画祭の開幕は四日午後六時二十分。映画祭のスタートに立ち会える喜びをかみしめて会場へ向かう。まだまばらなお客さまの輪に入り、ロビーでしばし松原さんを待つ。彼女のメールやSNSの文章はいつもとても美しく丁寧で、読んでいるこちらの背筋が自然と伸びてくる。真面目で真摯(しんし)に物事に向き合う松原さんのお人柄が、こうしたイベントを成功に導いているのは明白だった。そして目の前に現れた松原さんもまた、メールの雰囲気に違わず立ち居振る舞いが全て美しく、チャーミングな方だった。

 いよいよ開幕。大きな看板も装飾もない簡素な映画祭の開幕がまた、これまでの道のりを静かに物語っていた。定刻になると松原さんがスクリーン前に出てこられ、ごあいさつされた。どうしてこの映画祭を始めようと思ったか、これまでの道のり、そしてスイスや日本の同胞、ここに足を運んでくださったお客さまへの感謝が温かな声で伝えられた。とても美しくすがすがしい映画祭の始まりだった。私にとっても、素晴らしい時間で、初心を思い出させてくれると同時に明日への糧をいただけた気がした。

 終映後、感極まった松原さんを前にしてこちらまで目頭が熱くなった。映画が大好きでスイスを愛してやまない彼女の思いは両国での映画祭に詰め込まれていくのだろう。

 土日は高崎での仕事のため、恵比寿には行けなかったが、満席の続く大盛況だったようで何よりだった。来年はスイスに行こう、と思ったのは言うまでもない。

 (シネマテークたかさき総支配人)

 

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