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【群馬】

前橋出身の詩人・萩原恭次郎 生誕120年 前橋文学館と土屋文明記念文学館 連動企画展

萩原恭次郎(前橋文学館提供)

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 大正末期から昭和初期にかけて前衛的な作品で注目された前橋市出身の詩人萩原恭次郎(一八九九〜一九三八年)の生誕百二十年を記念する企画展が前橋文学館(前橋市)と県立土屋文明記念文学館(高崎市)で開かれている。両館が連動して恭次郎の革新的な作品や活動を紹介し、日本近代詩の変遷をたどる。(市川勘太郎)

 恭次郎は前橋中学(現県立前橋高校)在学中に文学に目覚め、文芸雑誌に詩歌の投稿を始めた。一九二二(大正十一)年に上京。翌年に既存の詩や芸術を変革しようと、詩人仲間と詩誌「赤と黒」を創刊した。前橋出身の詩人萩原朔太郎と血縁関係はないが、交流はあったという。

 恭次郎は短歌から次第に叙情詩へ移行。二五年刊行で代表作とされる第一詩集「死刑宣告」では、向きを変えた文字や記号など前衛芸術を取り入れた。詩集は評判を得たが、生活は苦しく二九年に妻子とともに前橋に戻った。

 前橋文学館の企画展「何物も無し!進むのみ!」では恭次郎の詩作の変化を「死刑宣告」の初版本や自筆ノート、詩集など約百二十点から追うことができる。

 学芸員の津島千絵さんは「時代に敏感で自らのスタイルを変えていった様子がわかる。恭次郎の作品と本人のことを知ってほしい」と話した。開館は午前九時〜午後五時。水曜休館。料金は常設展と合わせ一般四百円、高校生以下無料。来年一月二十六日まで。

 県立土屋文明記念文学館は十二月十五日まで企画展「詩とは?詩人とは?−大正詩壇展望−」を開催中。タイトルは大正時代を通し詩人らが問い続けたテーマとして「赤と黒」の創刊号に掲載された「詩とは? 詩人とは? (中略)『詩とは爆弾である! 詩人とは牢獄(ろうごく)の固き壁と扉とに爆弾を投ずる黒き犯人である!』」との宣言文から取った。

 「死刑宣告」初版本をはじめ資料約百三十点を展示。近代詩の出発点として、一八九七(明治三十)年に刊行された島崎藤村の「若菜集」を展示。一九一七(大正六)年に詩人の結束を目的として発足し、民衆詩派と呼ばれる詩人らが中心を担った「詩話会」については、苦しい工場労働や生活の実情に目を向けた作品などを詩集やパネルで紹介している。

 佐藤直樹主幹は「時代の流れに警鐘を鳴らし、詩の表現を模索している様子が作品から伝わってくる」と話した。開館は午前九時半〜午後五時。火曜休館。料金は一般四百十円、大学・高校生二百円。

萩原恭次郎の作品などが並ぶ展示室=高崎市の土屋文明記念文学館で

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