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【群馬】

あまりに過酷な父の運命知る 草津町・重監房資料館 遺族の証言映像作成

重監房の跡地を見学する遺族の女性(右)の場面と、映像を見る元患者(左)=草津町で

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 草津町の国立ハンセン病療養所「栗生(くりう)楽泉園」に隣接する重監房資料館は、園内で戦前に懲罰施設「重監房」に監禁された患者が父親だった遺族の女性が、匿名で登場する証言映像を作成した。楽泉園を訪問した女性は重監房の跡地や資料館を見学し、「あまりにも重い父たちの運命の過酷さを知った」と打ち明ける。映像は資料館に予約すれば閲覧でき、来年は高崎市や東京都などで上映する予定。 (菅原洋)

 重監房は逃走など理不尽な理由により、延べ93人の患者が冬は氷点下20度近くになる暗黒の密室に監禁され、粗末な食事しか与えられず、23人が亡くなったとされる。

 証言映像の題は「知られてはならない秘密〜患者の子と呼ばれて」(37分)。ドイツに暮らす女性は2018年、一時帰国して草津町を訪れた。

 女性の父親は1940年、熊本市から重監房に収監され、園内で患者の母親と知り合った。ただ、夫婦が過去を女性に語ることはなく、楽泉園を訪問したことがある女性もその過去を隠し続けてきた。

 女性は「(父母は)どんな思いで生きてきたのか。どんな思いで私を産んだのか」と問い掛ける。

 「重監房に父がいた。初めて私の中に入ってきた。ハンセン病の歴史と病気に初めて向き合った。なぜ。どうして」。重監房の跡地と資料館を見学した女性は実感を込める。

 証言映像を見た元患者の中村教良さん(84)は園内で女性の両親の近くに住んでいた。中村さんは「女性の父親は教会にいて、説教を聞いた記憶がある。重監房に入ったことは口を閉ざしていたが、立派な方だった」と述懐し、「偏見がなくなってほしい」と求めた。

 資料館の北原誠主任学芸員は「元患者の家族訴訟は原告が勝訴したが、こうした家族は氷山の一角。いまだに世間の冷たい視線を恐れていることを理解して」と話している。

 資料館は東京都の国立ハンセン病資料館の展示に関係した患者の遺族による証言映像(43分)も作成。二つの映像は資料館が開館5周年を記念して企画し、岩波映像に制作を委託した。

 二つの映像は来年1月18日午後2時からは高崎市中央公民館(先着100人)で、同25日午後3時からは東京都千代田区の日本教育会館(同80人)で無料上映する。事前予約は不要。問い合わせは重監房資料館=電0279(88)1550=へ。

 

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