東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 群馬 > 記事一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【群馬】

前橋市長選 山本さん3選果たす 戦後最多出馬、5候補振り切り

3選を決め、花束を受け取る山本さん=前橋市で

写真

 前橋市長選は九日投開票され、無所属現職の山本龍さん(60)が、無所属新人の元県議岩上憲司さん(47)など五人の候補者を振り切り三選を果たした。当日有権者数は二十七万七千五百四十九人、投票者数は十一万九千七百八十七人。戦後最多の六人が出馬し、投票率は43・16%で前回の30・97%を大きく上回った。また、市議補選の投開票も同日行われた。(市川勘太郎)

 選挙戦は自民、公明、立憲民主、国民などが自主投票を決め、各陣営は支持者の獲得に動いた。山本さんは計十五人の市議、各業界団体から支援を受けた。二期八年の実績に加え民間の活力を重視した市政運営を前面に出し、他の五候補を振り切った。

 岩上さんは自民党の狩野浩志県議が全面的に支援し、市議十二人とともに選挙戦を展開。各種業界団体からも支援を受け、知名度向上のため市内各地で演説を重ね支持者の取り込みを図った。ただ知名度などで現職に劣り追い越すまでには至らなかった。

 新人で元市議の中島資浩さん(48)は無所属の小川晶県議が遊説に加わり各地を回った。無党派層への浸透を図ったが、支持拡大は限定的だった。

 新人で元市議の店橋世津子さん(58)=共産推薦=は、共産党の支持者に加え、子育て世代や高齢者層への支持拡大を目指したが、広がらなかった。

 新人で元衆院議員の佐田玄一郎さん(67)は元国会議員の知名度を生かし遊説を中心に行った。若年層へ政策を訴えるなどしたが及ばなかった。

 新人で元みどり市議の海老根篤さん(72)は独自の戦いを展開したが、出馬表明の出遅れが響いた。

 投開票から一夜明けた十日市役所で当選証書付与式があり、山本さんが当選証書を受け取った。

 九日に投開票が行われた市議補選では新人の三人が当選した。

◆勝因は「市民との信頼」山本さん

 山本さんの選挙事務所(前橋市野中町)では九日午後九時五十分ごろ、当選確実の一報が伝わると、緊張した様子で山本さんが登壇し、支援者から拍手や歓声が上がった。

 山本さんは「多くの人に会い、たくさんの気持ちを背中に背負った。本当にたくさん学びました。市民との信頼関係で結ばれていたことが勝因ではないか」と振り返った。

 候補者が六人出たことについて「県都前橋だからさまざまなチャレンジャーがいることは良いことだ。公開討論会などで主張を伝え合うだけで政策を議論できなかったのは残念だ」と総括した。三期目に向け、「これまで語ってきたことを現実に皆さんに見える形にすることが私の使命だと思う」と意気込んだ。 (市川勘太郎)

◆落選の岩上さん「前橋を元気にとの思いで戦ってきた」

うなだれる支持者を前に悔しい表情を浮かべながら何度も頭を下げ続ける岩上さん=前橋市で

写真

 岩上さんは落選確実が伝わると前橋市二之宮町の事務所に姿を見せ、「私の不徳の致すところで結果を出せず、本当に申し訳ございませんでした」と目を潤ませながら深く頭を下げた。

 続けて「前橋を軌道修正したいと、前橋を元気にしたいと、この思いで皆さまの理解と協力を得て戦ってきた。感謝の気持ちはあるが、ここまで支えていただき、何一つ恩返しできないことが一番悔しくてならない」と述べ、繰り返し頭を下げた。その後岩上さんは、涙ぐむ数人の女性や他の支持者たちと握手し続けた。 (菅原洋)

◆投票率 前回上回る43.16%

 9日に投開票された前橋市長選の投票率は、2016年の前回選挙で30.97%と戦後最低を記録したが、今回は激戦を反映し43.16%と前回を12.19ポイント上回った。

 前回は現職に対し共産推薦の新人のみが立候補し、候補者の顔触れにも新鮮味がなく信任の意味合いが強かったが、今回は戦後最多となる6人が立候補し、選択肢が増える形となった。ただ、無所属候補が複数人立候補し保守が分裂した過去の選挙に比べると、投票率は伸び悩んだ。 (市川勘太郎)

【解説】「民間活力重視」に一定の支持

 前橋市長選で現職の山本龍さんが三選を果たし、公共事業中心の「箱モノ」路線から脱却し、民間活力を積極的に取り入れようとする市政運営が一定の支持を得たといえる。

 今回の選挙は市議会の最大会派だった「新政まえばし」の十九人のうち七人が野党系の五議員と協力し、岩上憲司さんを推す保守分裂選挙となった。中心市街地の再開発を巡り、当時の倉嶋敬明副市長を解職したことなど、山本さんへの不満が背景にあったとみられる。

 岩上さんは「ごみ清掃工場の新設に向けて動き始めないといけない」と行政が介入して公共事業を進める方針を表明。山本さんの民間活力重視か、岩上さんの公共事業回帰かが、最大の争点となった。

 山本陣営は新政まえばしを離脱した市議十一人が結成した新会派など計十五人の市議が運動を支えた。山本さんは任期中にがん検診の無料化により全国の政令市、中核市で受診率が二〇一六、一七年度と一位になったことなど二期八年の実績をアピール。岩上さんらをなんとか振り切った。

 しかし、山本さんを除く五候補に投じられた合計票数は六万九千三百五票で、山本さんを大きく上回る。投票者数(無効票を除く)に占める山本さんの得票は41・69%だが、全有権者に占める割合は約17・85%にとどまっている。決して「白紙委任」では無いことを山本さんは肝に銘じるべきだ。

 山本さんがこれまで進めてきた日赤跡地に計画している「生涯活躍のまち(CCRC)」整備事業や、中心市街地の再開発は少子高齢化と人口減少が進む前橋市において急務の政策課題だ。今後四年間で市民に見える形で成果を示す必要がある。 (市川勘太郎)

◇前橋市長選 確定得票

当 49,565 山本龍 無 現<3>

  39,439 岩上憲司 無 新 

  12,564 中島資浩 無 新 

  9,428 店橋世津子 無 新 

  7,597 佐田玄一郎 無 新 

   277 海老根篤 無 新 

◇前橋市議補選 確定得票(被選挙数3−候補6)

当23,652 入沢繭子 無新

当23,027 小岩井僚太 無新

当22,115 林倫史 無新

 17,374 吉田直弘 共新

  9,918 遠山真大 無新

  8,218 前田みか子 N新

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報