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【群馬】

<志尾睦子のそふとフォーカス>(102) 逆算の法則 修行中

天気を読むのは助監督の仕事。曇天でも「数分後に晴れ間がのぞくから」と、その通りになるのも日常茶飯事

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 いよいよ高崎映画祭の開幕までひと月を切った。まさに奔走している最中なのだけれど、加えて一つ、自分が企画した短編映画の製作も進行している。巻き込まれたスタッフには申し訳ないと思いながらも、この映画を作る側に回るようになったことは、映画に携わる中ではとても大事なことだと実感している。

 映画を見る、そして上映する視点と、映画を作る視点には大きな違いがある。同時に映画愛は同じなんだということも痛感する。それが面白い。分かっていたつもりが、映画作りというのはこんな苦労があり、こんな目線がないとできないのだな、と毎回現場に入るごとに思う。まだまだ新しい発見がある。

 映画の製作現場は分業がとてもきっちりしている。カメラマンがする仕事はこれ、助監督がする仕事はこれ、監督がする仕事はこれ、と決まっている。得意不得意は関係なし。小さな現場の場合、何役かを兼務することもあるが、手が空いているからそっちもやっておきましょうという、フィールドを超えたやりとりは基本ない。とにかくできる人ができることをやりましょう、と言うスタイルで生きてきた私にとっては、スペシャリストの集団性には毎回驚かされる。

 このところ、現場ごとに人を決めてじっくり観察することを始めた。これが本当に面白く勉強になる。それぞれが自分の分野で最善を尽くすわけだから目線も違えば行動も違う。考えてみれば当たり前のことだが、私はそれまでそのことがよく分かっていなかった。

 そして手慣れた製作現場のスタッフたちは皆、逆算が早い。

 時間の読みもそうだし、最終的な動きに合わせてスタートを決めるからだ。衣装の着方、メークの仕方、カメラの置き場、人の動き全てが、それぞれの専門家の手によって最終ゴールへ向かうための手順の中で導かれる。偶然の産物はあるようでない世界なのだ。本当にあっぱれである。私が逆算の法則を上手に扱えるようになるには、あと数年の修行が必要そうである。

 (シネマテークたかさき総支配人)

 

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