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【群馬】

<東日本大震災9年>原発事故、風化させない 福島から移住の片岡さんら 被災者の思い伝える朗読会

朗読した絵本を手にする片岡さん(右)と大河原さん=高崎市で

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 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後、福島県浪江町から高崎市に移り住んだ片岡美恵子さん(55)と群馬県内の知人の女性らが、被災者の思いを伝える絵本などの朗読会を続けている。原発事故から九年。「事故の記憶が風化していくのを肌で感じる」と懸念しつつ「忘れられないため、できることを続けていく」と風化にあらがう。 (石井宏昌)

 高崎市出身の片岡さんは結婚後、夫の仕事の関係で浪江町に転居し、英語塾を開いて地元の子どもたちに教えていた。だが、同町での生活が二十三年を迎えた二〇一一年三月、震災と原発事故で避難を余儀なくされた。

 避難生活で悩む中、浪江町で学習塾を経営していた知人夫妻が一七年十月、避難先の静岡県で故郷の浪江への思いを込めた絵本を自費出版したのを知った。

 避難生活中に死んだ愛犬の目線でつづった「手紙 お母さんへ」。各地に避難する町民へ口コミで広がり、片岡さんも群馬に避難している同町の知人と本を取り寄せ、一八年から県内の避難者交流会や福祉施設などで読み聞かせや朗読に取り組んできた。

 震災から九年を前にした今月八日には、渋川市内のキリスト教会で子どもたちやお年寄りなど約四十人を前に、絵本をプロジェクターで映して朗読した。震災後に生まれた子どもたちもいて「この子たちにはどう映るのだろう」と心配もあったが、真剣に見詰める姿に安堵(あんど)したという。

 朗読会はこれまで十回以上になる。片岡さんは「絵本につづられた悲しみは私や浪江の人の思い。始めた当初は朗読するたびに泣いていた」と言う。

 今も毎月のように浪江町に通い、自宅の整理を続ける。「復興五輪」の掛け声の中、同町にも新たな街並みが整いつつあるが「通り一つ奥に入れば倒壊した家がそのままの場所もある。きれいになったのは目に見えるところだけ。復興の実感なんてない」と片岡さん。「何かが変わるとは思わないけれど、できることを続けるしかない」と話す。

 ともに朗読会を開く知人の大河原厚子さん(70)=高崎市金古町=も「避難生活の中で生まれた作品を多くの人に知ってほしい」と語った。

子どもたちやお年寄りなど約40人が集まった朗読会=渋川市で(片岡さん提供)

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