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【群馬】

障害者らの癒やしの宿 次世代に残したい 安中のバリアフリーペンション「まついだ森の家」

森の家の玄関前で「意欲のある人に引き継いでほしい」と話す黒羽知代さん(右)と石橋邦和さん=いずれも安中市松井田町で

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 障害者やその家族が安心してくつろげる宿として親しまれてきた安中市松井田町のバリアフリーペンション「まついだ森の家」が、存続の危機に立っている。障害者の親や福祉関係者が設立して24年。宿の管理人らが高齢のため今月末で退職する。当面は1人が残り、素泊まり限定で運営するが、関係者は「次の世代に引き継ぎ、癒やしの宿として存続させたい」と後継者を募っている。(石井宏昌)

 群馬、長野県境の碓氷峠の麓。まついだ森の家は同町の市街から約五キロの里山に木々に包まれてたたずむ。山荘風の木造二階建て、建物脇に手づくりの木製デッキやピザ窯もある。

 「新緑や花の季節はきれいですよ。周辺を散策したり、バーベキューやピザ作りを体験したり」。宿を運営するNPO法人「まついだ森の家」理事で宿の管理人の黒羽知代さん(71)が四季の魅力を紹介する。

 客室五室、定員十四人ほどの小規模な宿だが、車いすでもすれ違えるゆったりした廊下や緩やかな階段、浅めの浴槽や低めのベッドなど障害者の利用に配慮。通常の食事のほか、ミキサーにかけてペースト状にした介護食など障害に応じたメニューを提供している。

 周辺の観光スポットのバリアフリー情報を紹介し、利用者のプランによっては事前に現地調査も実施。ボランティアによるミニコンサートやクラフト体験などの催しも開いてきた。

 一九九六年、横浜市に住む障害者の家族や福祉施設関係者らが「豊かな自然の中に、ハンディがあっても気兼ねなく安心して泊まれる宿をつくりたい」と賛同者を募り、出資者三十四人で開設。二〇〇七年に運営母体としてNPO法人を立ち上げた。

 東京都が宿泊費の一部を助成する都障害者休養ホームにも指定され、県内外の障害者施設のグループや家族らが利用。家庭的な雰囲気で健常者のグループや登山客にも親しまれてきた。

 管理人の黒羽さんは創設当初からのメンバーだ。横浜市で知的障害者のグループホームで働いていたが同町に移住。同じ創設メンバーで同市から町内に移り住んだ石橋邦和さん(75)や地元の調理担当職員と宿を切り盛りしてきた。だがスタッフも高齢となり、ここ数年は後継者を探していた。

 森の家の理念や黒羽さんらスタッフの思いに共感し、運営を引き継ごうと働いた男性もいたが、家庭の事情などで断念。後継者不在のまま、黒羽さんは健康上の理由で今月末で引退し、調理担当の職員も辞める。

 存続を願う利用者や関係者の声を受け、当面は石橋さんが管理を継続するが、調理までは手が回らないため素泊まりとホールなどの貸し出し業務に限定。これまでのようなサービスは難しくなるという。

 森の家を長年利用する知的障害者施設「かんなの里」(藤岡市下栗須)の島野健太郎副施設長(48)は「温かい雰囲気で、施設利用者がリラックスできる場所。何としても続けてほしい」とエールを送る。

 黒羽さんは「障害のあるお客さまから教えてもらうことがたくさんあった。出会いが喜びだった」と振り返り、「経験は問わない。NPO法人として全面的に支援するので、意欲のある人にぜひ引き継いでほしい」と呼び掛けている。

 問い合わせは、まついだ森の家=電027(393)0655=へ。

「まついだ森の家」の外観

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催しなどでも利用した食堂兼ホール

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