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【茨城】

<ひと物語>地元らしいチーズを 常陸太田の地域おこし協力隊員・岡崎和子さん

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 「チーズのまち」として売り出そうとしている常陸太田市で、今月二十二日から、添加物を使わないナチュラルチーズの試作を始めた。市の「チーズ製造・商品化プロジェクト」で、中心となる作り手として奮闘している。

 とはいうものの、名刺の肩書は「ナチュラルチーズ職人見習い」。七月に市の地域おこし協力隊員として着任したが、これまでにチーズ作りの経験はなく、座学や北海道の工房に研修へ行くなどして一から勉強している。学ぶことが多く休む間もないが、「地元の生乳にぴったり合うチーズを作りたい」とやる気にあふれる。

 チーズは、新鮮な生乳に乳酸菌とチーズを固める酵素「レンネット」を入れて作る。さまざまな種類があるが、手始めの目標は、熟成期間がなくみずみずしいモッツァレラチーズを作ること。市北部の里美地区にある学校給食センター跡地を工房とし、地区産の生乳に合う乳酸菌を数種類試すなどして、味や食感の改良を重ねていく。

 自分が作りたいチーズは「フレッシュで豆腐みたいなイメージ」。約二十年前、旅先のジョージアで食べたチーズの食べやすさと味に驚いた。当時の日本では珍しいタイプで、水分が多く、熟成させずに作り立てを食べた。ジョージアの人々は簡単な夕食をパンとチーズにすることが多いとし、「チーズがとても身近。日本のご飯と漬物、という感じで食べられていることが新鮮だった」と振り返る。

 だが、帰国後すぐにチーズ職人になりたいと思ったわけではなく、ペットフードや補聴器関連の業界で働いた。やりがいもあったが、消費者の話を聞く機会がなかったため、徐々に「自分の仕事は本当に誰かの役に立っているのか」と疑問を持つようになった。

 食品を作る仕事をすれば、誰かから反応をもらえるのではないか−。そう考えていた今年二月、市の協力隊で、チーズ職人を募集していることを知った。この時、ジョージアのチーズを思い出し、「チーズを作りたい」という思いが沸き上がった。もともと常陸大宮市に友人がいたこともあり「茨城は自然が豊かで良いイメージ。好きな場所で好きなことができるのは本当にうれしい」と話す。

 市は来年の三月をめどに、工房で作ったチーズを学校給食で提供したい考えだ。「高級品ではなく、子どもでも食べられるような食卓に並ぶチーズを作りたい」。子どもたちの笑顔のため、情熱を注ぐ。 (山下葉月)

<おかざき・かずこ> 1972年8月、千葉県白井市出身。鶴見大文学部卒業後、オーストラリアやアイルランドへ留学。バックパッカーとして世界を歩き、さまざまな食文化に触れてきた。英語が堪能で、ジョージア語も学んでいる。

 

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