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【茨城】

<ひと物語>不幸な犬猫ゼロに 倉持千恵子さん(65)

NPO法人「いばらきの犬と猫」代表

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 「条例は一歩かもしれない。でも、飼育の補助金をつけて犬猫の譲渡が増え、殺処分が減ることで満足しているなら、それは違う。県内で保護される犬猫の実態は、ほとんど変わっていません」

 本県で「犬猫殺処分ゼロを目指す条例」が施行されて二年が過ぎた。県の動物指導センター(笠間市)で二〇〇七年度に六千百八十九匹あった犬の殺処分は、一七年度に三百三十八匹と減少傾向にある。

 ただ、動物保護団体の代表として、殺処分ゼロではなく「『不幸な犬猫ゼロ』を目指さないといけない」と語る。不幸な犬猫とは、例えば、病気になっても病院に連れていってもらえない、つなぎっぱなしで散歩をさせてもらえないことなどを指す。

 「塩分などが多い人間の食事の残りをえさにあげたり、避妊・去勢手術をしないばかりに、たくさんの子どもが生まれてしまったり、よくない飼い方が散見される。そういうところに手を付けないと、茨城は何も変わりません」

 また、「殺処分ゼロ」では数字ばかりが注目され、飼い方に目がいかない可能性があると指摘する。

 「極端なことを言えば、動物指導センターが犬や猫を引き取らなければ、殺処分数は減る。数字だけを目標にし、条例を提案した議員さんたちの歓心を買おうと懸命になる恐れがある。譲渡よりも、不幸な命が生まれないことや飼い方の改善に力を入れてほしい」

 動物保護活動は一九九〇年代、近くに団体があることを新聞記事で知り、手伝いを始めたのがきっかけだった。小さいころから動物が身近にいる生活で、「かわいそうな犬猫を救いたい」気持ちが強かった。

 現在、自宅にいる犬猫は二十匹を超える。以前はもっと多かった。育ててくれる人が見つからない場合は、一生面倒をみる。好きというだけではできない覚悟も必要な活動という。

 一方で、「癒やされる」「子どもが生き物への思いやりを知ってくれた」など引き取ってくれた人たちからうれしい感想が返ってくるし、懐くとやはりかわいい。「命あるものだから、きちんと世話をできる飼い主だけが飼うべきだ」と言葉に力がこもる。

 一つ提案するのがペット税の導入だ。税を負担してでも飼うという人なら、きっとしっかりと飼ってくれるはずだ、と。代わりに狂犬病予防の注射代を補助するなどすれば、理解を得られるのではと考えている。 (鈴木学)

<くらもち・ちえこ> 1953年7月生まれ、五霞町出身。現在は古河市在住。90年代に動物愛護団体でのボランティアをきっかけに、個人での活動を経て2013年に「いばらきの犬と猫」を設立した。ほかのNPOと合同の譲渡会を毎月、笠間市で開いている。詳しくはホームページで。

 

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