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【茨城】

<ひと物語>牛久大仏清掃に誇り エム・ビー・シー社員高所の仕事担当・田口和幸さん(48)

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 「年一回、茨城のシンボル的な存在の牛久大仏を清掃させてもらえることに、やりがいを感じているし、誇りを持っている。ありがたいことです」

 清掃会社「エム・ビー・シー」(水戸市)に勤め始めたのは二十四年前。高い場所への恐怖があまりないことから、ビルの窓掃除など、高所の仕事を担当するようになった。

 二〇〇〇年、牛久大仏の管理事務所から「大仏の顔を清掃できないか」と相談が寄せられた。仕事を引き受けることになり、当初は実際にできるかどうか、不安もあったという。しかし「誰もができる仕事ではない。させてもらえるのであれば、ぜひしたい」と前向きな気持ちの方が大きかった。

 日頃、水戸市内で担当するビルの高さは四十メートルほど。百二十メートルある大仏は、約三倍の高さ。高所に慣れていても「さすがに恐怖を感じた」と話す。ロープをつるして外で作業する点では、普段のビルの清掃と変わらない。しかし、大仏は表面が平面ではない分、手足がつかず中ぶらりんになることもある。作業方法の違いに戸惑いも感じたという。

 今でも慣れないのが、大仏の上まで高圧洗浄器などの道具を運ぶこと。内部に水道がないため、十八リットル入りのバケツを十個、清掃担当の三人が地上から持って行く。地上八十五メートルまではエレベーターが使えるが、残りは、らせん階段を上る。「年齢を重ねてきて、年々きつくなってきた」と苦笑いする。

 大変な作業だが、仕事に取り組む原動力は、汚れを落とし、きれいに仕上がった状態を見たときに感じるやりがい。一年ぶりに登ると、大仏は鳥の排せつ物で汚れ、涙を流しているよう。「参拝者には汚れた大仏ではなく、自然な状態の大仏を見てもらいたい」

 地上八十五メートルの展望台よりさらに高い地点から一望できる景色は格別で「最高だ」と話す。年々、高さ百二十メートルへの恐怖心も薄れてきて、きれいな景色を眺めるのが楽しみの一つになっている。

 現在、高所の作業を担当するのは社内で二人だけ。「今までしてきた仕事が続いていくようにしたい」と仕事を引き継いでいくことに意欲を見せる一方で、「ほかの人が仕事できないような、ちょっと変わった造りの建物も清掃してみたい」と夢を膨らませる。 (水谷エリナ)

<たぐち・かずよし> 1970年6月、水戸市生まれ。県立友部高を卒業。父親が清掃業に関わっていた影響を受け、95年にエム・ビー・シーに入社した。2000年から約20年、毎年9月に牛久大仏の清掃をしている。

 

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