東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 茨城 > 記事一覧 > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【茨城】

<ひと物語>子らに優しい農園に 鉾田のイチゴ農家・新堀英巳さん(43)

写真

 イチゴ作りが盛んな鉾田市にある「新堀農園」の四代目として就農し、今年で二十三年目。「イチゴは作り手のこだわりが出やすい食べ物。おいしければ、お客さんからの反応がシャープに返ってくる」と、自分の代からイチゴをメインの作物に切り替えた。主力品種は、上品な薄紅色の「やよいひめ」。外国人研修生やパートら計十七人で栽培し、首都圏を中心に年間七十トンを出荷している。

 市場出荷向けとは別に、味や香りが異なる十種のイチゴ狩りを楽しめる観光農園も先月、オープンした。やよいひめはもちろん、広く知られる「とちおとめ」や県オリジナル品種の「いばらキッス」、桃やココナツのような芳醇(ほうじゅん)な香りの「桃薫」といった変わり種を四棟のハウスでそれぞれ栽培。イチゴの世界を存分に楽しめる。

 きっかけは、二年前のクリスマス。イチゴが大好きな次女(12)が「もっといろんなイチゴが食べたいな」と口にした言葉だった。「自分が育てたイチゴしか食べたことなかったのですが、子どもたちは潜在的にいろんな品種のイチゴを食べたいことに気付いたんです」と言う。娘の願いをかなえるために、事業に着手した。

 観光農園で心掛けていることは「子どもに優しい」こと。園内に砂場やブランコを作ったほか、子どもの目の前に実がぶら下がるように、イチゴは地面から一メートルの台の上に土を敷く「高設栽培」を導入した。

 高設栽培で一度に十品種を育て分けるのは難しく「味が乗りやすい品種と、そうじゃない品種がある。作りこなすのはなかなか難しかった」と振り返る。それでも、味へのこだわりは強く、最もおいしい「完熟品」を食べてもらうため、開園は原則、毎週日曜日と決めている。

 残った完熟品は、併設した加工場でドライフルーツや冷凍イチゴにして販売する。「だからロスを気にせず、イチゴを完熟させてお客さんを迎えることができるんです」と胸を張る。

 加工したイチゴは園内のカフェ「一苺一笑(いちごいちえ)」で、パフェとして楽しめる。名前には「一個のイチゴで今日一番の笑顔になってほしい」という思いを込めた。

 「自分も楽しみ、お客さんも楽しくなるような農業がしたい。楽しくないと農業は行き詰まってしまうと思うんです」。自分の農業スタイルにも一致する「一苺一笑」をテーマに、今後も笑顔を届けていく。 (山下葉月)

 <にいぼり・ひでみ>1975年11月、鉾田市出身。妻と、イチゴ好きな3人娘との5人暮らし。「こどもの日」の5月5日、小学生以下の入園料を無料にするイベントを開く。予約が必要で、大人は有料。問い合わせは農園=電070(3996)1533=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報