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【茨城】

ふるさと納税新制度 体験型…返礼品に独自色

境町が開設しているふるさと納税用サイト

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 高額返礼品による寄付金獲得競争が問題となったふるさと納税の新制度が六月からスタートした。県内でも高額返礼品で多額の寄付金を集めた自治体があったが、一様にルールに従う方針を示す。今後は金額面でお得さを競うことは難しく、体験型を提案したり、地域のお宝を再発見するなど各自治体で工夫した返礼品を打ち出せるかがポイントになる。 (越田普之)

■ハワイ 

 「ふるさと納税が地場産業の活性化につながるのは間違いない。廃止されなかっただけでもよかった」

 県内自治体で二〇一七年度に最多の寄付を集めた境町の橋本正裕町長は、新制度の感想をそう話す。

 新制度は、返礼品を寄付額の三割以下の地場産に限定。総務省は、ルール破りを続けた大阪府泉佐野市など四市町を適用外にした。

 境町もかつて、都内料亭の食事券やハワイのホテル宿泊券など地場産と言えない高額返礼品を贈り、一七年度に二十一億六千二百万円の寄付を受け、他自治体へ寄付した町民の控除額や事務経費などを差し引くと、収支は約八億五千万円の黒字だった。一八年度の寄付額も五十七億五千九百八十四万円まで伸びた。

 町は総務省の指示に従い、ルール違反の返礼品を取り下げており、今は地元産の農畜産物や利根川大花火大会の観覧チケットなどで勝負する。橋本町長は「使途を明確化し、町の純粋なファンを増やしたい」と、一九年度以降の急減を食い止めたい考えだ。

 一方、町では制度がいつ廃止されてもいいよう、寄付金に頼った行政運営はせず、基金の積み増しや補助金の不足分の穴埋めなどに活用しているという。

■挽回へ 

 対照的に、収支が四億二千万円に迫る大赤字なのがつくば市だ。市民が他の自治体に寄付するケースが多く、税控除が多額になっている。市の担当者は「何とか挽回していきたい」と、モノ以外にも体験型の返礼品で特色を出そうと検討している。市に来てくれる人を増やし、移住者としての取り込みも狙う。

 水戸市も体験型を重視する方針。市は昨年、市内の徳川ミュージアムの協力を得て、展示品の名刀に触れる権利を返礼品にした。十万円と高額だったものの、二十人の枠が二時間ほどで埋まる人気ぶりだった。

 高橋靖市長は「『こと』に関する返礼品を増やし、独自性を出したい。総務省とぎりぎりのやりとりをして魅力ある返礼品を用意する」と意欲を示す。

 地域おこしなどに詳しい常磐大総合政策学部の砂金祐年(さちとし)准教授(政治学)は、「制度改正により、『ふるさと納税ブーム』は沈静化するだろうが、本来の趣旨に立ち返るためには必要な措置だった。各自治体には創意工夫を競い合う姿勢が求められる」と指摘した。

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