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【茨城】

私が決める「避難計画」 鬼怒川氾濫教訓に常総市からスタート

マイタイムラインの説明をする土河さん=常総市で

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 水害などを予想して、住民一人一人が、時系列で自分の避難の手順を決めておく「マイタイムライン」の取り組みが広まっている。二〇一五年九月に鬼怒川が氾濫した常総市で、多くの住民が逃げ遅れた反省から始まった試みだ。先行する地元町内会には全国から講演依頼も相次ぎ、東京都もホームページで作成を推奨。大雨被害が心配される中、「個人の避難計画」への注目が高まっている。(宮本隆康)

 マイタイムラインは、自治体などが策定する事前防災行動計画(タイムライン)の個人版。水害や台風上陸などを数日前から逆算し、時系列で「いつ」「誰が」「何をする」を文書や表にして備えるための計画のことだ。

 鬼怒川水害を受け、管轄する国土交通省下館河川事務所が「情報の受け手の住民目線が欠けていた。個々の環境に合わせた対策が重要」と発案した。一七年二月には、広範囲に浸水した常総市の若宮戸地区で住民向けに初めて講座を開いた。

講座で自分のマイタイムラインをつくる住民ら=筑西市で

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 同地区の土河隆さん(68)も講座に参加し、自分のマイタイムラインを作成した。水害では自宅の床上百二十センチまで浸水した。「隣の人に誘われて近所付き合いで避難したが、氾濫なんて考えてもいなかった。声をかけてもらわなければ、逃げ遅れたかもしれない」と振り返る。妻と二人で避難したが、自宅に残った長男はボートで救助された。当時、防災無線などで避難を呼び掛けられていたが、市内ではヘリやボートで救助された人が四千人以上もいた。

 土河さんがつくったマイタイムラインでは、大雨洪水警報が出たら、車にガソリンを補充し、防災グッズや食料を準備。川の水位をネットで確認し、長男や次男と連絡を取り合うなどして、避難勧告を受けて避難する、と決めた。「四年前と違い、これで迷いがなくなる」と語る。

 高齢者は早めに避難したり、ペットのいる世帯は預け先を確保するなど、個人や世帯で内容は異なるため、それぞれの事情に合わせた避難計画が重要になるという。下館河川事務所はこれまで本県や栃木県の自治会や小中学校などで講座を開き、一万人以上が作成。ホームページ(HP)でも作り方を公開し、岐阜県や福井県でも講座が開かれた。東京都も五月から、HPで作成ガイドの公開を始めている。

 町内会で熱心に取り組み、長野県など各地から講演依頼も相次ぐ常総市の根新田町会の須賀英雄事務局長は「ぶっつけ本番では逃げるタイミングを迷い、持ち出す物も分からない。何をするか、あらかじめ細かく決めておけば、慌てず身を守れる」と話している。

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