東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 茨城 > 記事一覧 > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【茨城】

<ものづくりの現場へGO!> 線香の「駒村清明堂」(石岡市)

押し出し機を通り棒状になった線香を板に乗せる従業員=いずれも石岡市で

写真

 筑波山の麓にある石岡市の八郷地区に、百年以上前から伝統の製法で線香を作り続けている「駒村清明堂」がある。製造所兼店舗の前に立つと、ふわりとほのかな香りが広がる。自然の力をたくさん利用してできた線香は、杉の匂いを漂わせる。

 線香の原料は杉の葉で、最大の特徴は、水車の動力を使い、葉を粉にしていること。原料から材料を作り、完成品を消費者に届けている。五代目当主の駒村道広さん(65)によると、ほかの製造所では分業化などが進んでいるといい、「全工程やっているところは少ないのでは。働いている水車も珍しい」と話す。

 創業は明治後期。八郷地区は、筑波山の斜面の高低差を利用して水車を動かし、杉の葉を調達するのに適しているという。

線香の製造に使われている水車。建物の中に、水車を動力にして杉の葉を粉にする機械が入っている

写真

 香りの良い線香を作るため、樹齢五十年以上の杉の葉を使う。秋から冬にかけて採集した材料を、じっくりと数カ月かけて乾燥させる。「杉に含まれる香りや粘り気のもとになる成分が残りやすくなる」と説明。丈夫で最後まで長く燃える線香ができるという。

 水車を動力にしてトン、トン、トンと小気味いいリズムで乾燥させた葉をつき、一日半から二日かけて、サラサラした細かい粉にする。つきたての粉を触ると、摩擦熱で心地よい温かさになっている。

 駒村さんは「つくのが速すぎると、熱くなって香りが逃げる」と言い、水車が絶妙なテンポを生み出しているという。

 ここまでの作業で、電気やガスなどは一切使わず、自然の力に頼る。水車も、筑波山から霞ケ浦まで流れる恋瀬川の源流から水を引いて動かしている。線香を棒状にする押し出し機に通す前、粉とお湯を混ぜている。お湯は葉をむしった後の枝を燃料にし、かまどで沸かし、無駄がない。

 駒村さんは「機械を使えば速くたくさんできるだろうけど、いいものを作るには今の方法が一番だと思ってやっている」と紹介する。香りや粘り気のもとになる精油成分を残すことにこだわり、工程のほとんどを明治時代から変えていない。

 「それぞれの線香に良さがある」と、自分の線香が絶対に一番だと主張するつもりはないというが、香りの良さは確実に使う人に響いている。取材している間にも、つくば市から来た女性二人が「友人からもらって香りが良かったから」と線香を買っていた。

駒村清明堂で製造・販売している線香

写真

 今や、珍しい現役の水車を一目見ようという人も多く、駒村さんは「水車があることで、いろいろな人が来て話せるのはおもしろい。それで興味を持ってもらえれば」と話す。 (水谷エリナ)

 子どもたちの夏休みは八月に入り、いよいよ本番モード。海や山、娯楽施設など、どこに出掛けようか迷う人もいるかもしれない。近場で、日本を支える製造業の現場を見学するのも選択肢の一つ。子どもだけでなく、大人も楽しめるものづくりの現場へGO!

写真

<駒村清明堂> 午前9時から午後5時までの間に水車や作業風景などの見学ができる。事前の連絡が必要。線香の加工作業は午前中が多い。5束入りで1箱1100円(税込み)。原則日曜・祭日が休み。石岡市小幡1899。問い合わせや予約は駒村清明堂=電0299(42)2819=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報