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【茨城】

<ものづくりの現場へGO!> カガミクリスタル(龍ケ崎市)

ガラスの表面を削るグラヴィール彫刻の作業=いずれも龍ケ崎市で

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 約一二〇〇度に熱せられた炉から竿(さお)を引き抜くと、ゼリー状に溶けたガラスが先端に巻き付いた。龍ケ崎市のクリスタルガラス専門メーカー「カガミクリスタル」の工場。数人の職人が竿から息を吹き込んだりして、ガラスの形を整える成形の作業をしていた。

 「良いガラスの生地があってこそ、切子(きりこ)などの加工が生きる。ガラスづくりからカットまで、一貫生産しているのが特徴」。営業部長の田島始さん(59)が、工場見学のコースを案内しながら説明してくれた。

竿の先に巻き取ったガラスの形を整えている

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 夏場は過酷だ。炉やガラスの温度管理の都合上、工場内でクーラーは使えないという。田島さんは「職人の体調管理に配慮するため、夏は生産量を少し落としている」と話す。

 カガミクリスタルは、日本におけるクリスタルガラスの先駆者、各務鑛三(かがみこうぞう)さん(一八九六〜一九八五年)が創立。三四年に日本初の専門メーカーとして前身の「各務クリスタル製作所」を設立した。

 各務さんは戦前にドイツへ留学し、クリスタルガラスの加工技法を習得。工芸作家として国内外で数々の受賞歴を誇る。六八年から皇室に食器を納入するなど、高級品メーカーとして知られる。

 職人は約二十人で、成形、江戸切子のカット、彫刻の担当に分かれている。本社営業課長の和田耕治さん(42)は「どれも経験が必要。何年もかけて仕事を覚えてもらっている」と語る。

 江戸切子は、円形の砥石(といし)を回してガラスの表面を削り、幾何学的な模様を彫り込む。

竿の先に溶けたガラスを巻き取っている

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 彫刻は、各務さんがドイツから日本に持ち帰った「グラヴィール技法」を使っている。ガラスの表面にデッサンを描き、銅の円盤を回して表面を削る。光の反射によって、描いた模様が浮き上がって見えるのが特徴だ。

 「国内で工業製品としてグラヴィール技法を扱っているのは、うちだけではないか。なかなか見学できる場所はないでしょう」と和田さん。

 クリスタルガラスの無色透明な美しさと、繊細なカットを評価され、海外のスポーツ大会のトロフィーなども手掛けている。

 和田さんは「すべて手作業で、昔からの製法にこだわっている。日本企業しかできない繊細さを大事にしたい」と胸を張った。 (宮本隆康)

<カガミクリスタル> 龍ケ崎市向陽台4の5。工場見学は平日の営業日で、原則18歳以上。定員は5人以上40人まで。所要時間は約50分。希望者は1週間前までに電話で申し込む。問い合わせはカガミクリスタル=電0297(64)7111=へ。

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