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【茨城】

<ひと物語>悩み 語り合える場を 「自死遺族のつどい ゆったりカフェ龍の会」代表・南部節子さん(74)

「ゆったりカフェ龍の会」のチラシを手にする南部節子さん=龍ケ崎市で

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 「自殺に対し『なぜ周囲が気付かないのか』『死んだ本人に問題がある』という偏見がある。だから周囲に隠し、自分を責める遺族が多い」

 自殺者の遺族たちが悩みなどを打ち明けられる場として、龍ケ崎市で隔月に一回、「自死遺族のつどい ゆったりカフェ龍の会」を開いている。

 自身も二〇〇四年、夫を自殺で失った。五十八歳のエンジニアの夫は、過労状態だった。新婚当時に暮らした奈良県大和郡山市で、電車に飛び込んだ。遺書には「仕事ができない」「ごめんなさい」「すみません」「あかん」の言葉がびっしりと書かれていた。

 「自殺は人に言えないこと」と思い、葬儀には限られた人しか呼ばず、近所に「心筋梗塞で死んだ」と隠した。娘に「なぜ、うそをつくの」と言われ、息子から「おやじが悪いことをしたというのか」と、しかられた。

 「気付いてあげられなかった自分が殺したのでは」と悩み続けた。「なぜ後を追わないんだろう」「夫が死んだのに、なぜ食事をして眠れるんだろう」と自分に嫌悪感を抱いた。人に会うのが嫌で、家の中でも帽子やサングラス、マスクを身に着けた。

 近所の友人が三カ月間近く、毎日のように訪ねてきた。何も言わずに背中をさすり、ずっと話を聞いてくれた。「誰も悪くないんだよ」と言ってくれた言葉が心に響いた。

 娘や息子、友人の言葉から「自殺は社会問題。世の中に知ってもらわなければ」と考えた。自殺者の遺族を支援するNPOのメンバーに名を連ねた。各地で自らの体験を話したり、遺族が語り合える場を設ける活動に取り組んだ。

 国内の自殺者が三万人を超え続け、〇六年に自殺対策基本法が施行された。法改正で市町村に対策が義務付けられたのを機に、一昨年から地元の龍ケ崎市で活動を始めた。

 当初は一人しか来ない日もあったが、最近では六、七人が参加する。夫が自殺した後、義母から「あなたと結婚したせいだ」と責められ、さらに悩む女性などが訪れる。

 夫の死から十五年。「私のような思いをする人を減らしたい、と活動してきたけど、少しはできたかな」と振り返り、「主人が結び付けてくれたような、いろいろな人の縁に恵まれたから」とほほ笑んだ。 (宮本隆康)

 ◇ 

 「ゆったりカフェ龍の会」は原則、奇数の月の最終土曜日、午後一時半から午後三時半まで、龍ケ崎市市民活動センターで開催。参加費は五百円、予約不要。問い合わせなどは南部さん=電090(6519)3807=へ。

 

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