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【茨城】

<ひと物語>支え合う仕組みを NPO法人フードバンク茨城理事長・大野覚(おおの・さとし)さん(39)

「フードバンクは感謝をされることが多い。多くの人に体験してほしい」と協力を呼び掛ける大野さん=水戸市栄町で

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 棚のケースにはカップ麺やレトルト食品、缶詰などが品目ごとにずらり。季節がら、お中元用のそうめんやゼリーの箱、ベビーフードもある。

 余剰の食品や規格外などの理由で捨てられてしまう食品を家庭や企業から譲り受け、福祉施設や生活困窮者らを支援する団体に提供する活動に携わっている。

 「電気やガスが使える家庭ならカップ麺やレトルト食品など、水道も止められていたら水や缶詰などといった具合に必要なものを必要な家庭に贈っています」。食品ロスと貧困問題の両方に関わる活動であり、「いわば『もったいない』を『ありがとう』に変える活動です」と言う。

 鹿嶋市出身。独協大学時代にNPOに関心を持ち、企業に就職したものの渡米してNPO運営を学んだ。帰国後、地元のNPO法人「茨城NPOセンター・コモンズ」(水戸市)に入り、現在は常務理事兼事務局長を務める。

 二〇一一年にフードバンク茨城を設立するのに当たり、準備段階から事務局で関わってきた。メンバーは全員ボランティアで、牛久本部と水戸支部で計約三十人。自治体からの補助金もない中で、年間約百トンもの食品を扱っている。

 生活困窮者らと直接顔を合わせる機会はほとんどない。自治体や社会福祉協議会が間に入る。ありがたい半面、不満もある。本来の行政的な支援が十分でなく、フードバンクの食品でお茶を濁していると思えるケースがあるからだ。

 「食品を持っていくことで、『ありがとう』とドアを開けて話をしてくれる人もいるでしょう。ただ、食品を渡せば困窮が解消されるわけではない。就労支援などをやっていく中に、フードバンクも組み合わせてもらえればと思うのです」

 農業が主要産業の茨城では、農業者とのつながりを深めたい。また、より困窮者らの近くで支援できるように県北や県西、鹿行にも支部を置きたい。どちらもボランティアが増えないとかなわないのが悩みだ。

 昨年の冬休みから、長期休暇時に生活困窮世帯の子ども対象の支援も始めている。給食に栄養摂取の多くを頼っているため、やせて新学期を迎える子どもが見受けられるからだ。提供を受けた家庭からは「温かい活動に涙が出ました」とのお礼状が届く。

 「貧困は誰のそばにもある。自己責任論もまん延していますが、支え合う仕組みをつくりたいんです」と話す。 (鈴木学)

     ◇

 米の収穫時期に合わせ、保管している米などの寄贈を呼び掛けている。2018年産以降でカビや虫の発生のない米が希望。牛久本部と水戸支部の2カ所で持参のみ受け付ける。本部が月・水・金曜午前10時〜午後4時、水戸支部は水・木曜午前10時〜午後2時半。問い合わせは、本部=電029(874)3001、水戸支部=電029(231)1649=へ。

 

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