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【茨城】

「政府や東電が責任を」 原発訴訟 旧経営陣に無罪判決

無罪判決への受け止めを話す菊地孝さん=茨城町で

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 東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣三被告に対し、東京地裁は十九日、無罪を言い渡した。刑事責任が問われなかったとはいえ、事故の影響は大きく、八年半以上たつ今も県内には三千人超の避難者が暮らす。県内で避難生活を続ける二人に無罪判決をどう受け止めたのか聞いた。 (水谷エリナ、宮本隆康)

 県内の避難者数は復興庁のまとめで八月九日現在、都道府県別で福島、東京に次ぎ三番目に多い。県内の避難者には、起訴の対象の被害者の遺族もいる。

 福島県浪江町から鉾田市に避難している会社役員菊地孝さん(77)は「あれだけの大きな事故で、個人が責任を負っても仕方がない。政府や東電が負うべきだ」と訴える。

 その上で「有罪判決が出れば気持ちが楽になる被災者もいると思う。ただ、八年半たって罪人をつくっても何の役にも立たない」と話し、個人の責任よりも政府や東電の体質を問う。

 故郷に帰還できる展望は見えない。妻は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、三月に亡くなった。日記には、病気のことにほとんど触れず「(浪江町に)帰りたい」とつづっていたという。

 菊地さん自身も七月に肝臓を悪くし、命が危なかったという。その後も別の病気で手術を受け、今は茨城町の病院に入院している。

 七十年近く住んだ浪江町を離れ、時間はすぎていく。「ふるさとを取り上げられたという気持ちがどんどん強くなっている面がある」と声をつまらせる。

 「現状では、昔のような浪江町に戻すのは不可能」とみる。その上で「中間貯蔵施設や最終処理場などの問題を解決しないと、ふるさとは再興できない。今も復興の見通しが立たない状況で、自分のような高齢者は、ふるさとを失った心の傷をひきずっていくしかない」と吐露する。

 

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