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【茨城】

最後に大漁旗を届けたい 鹿嶋の渡辺けい子さん 大震災10年で支援活動の区切り

被災地支援の活動を振り返る渡辺けい子さん。色紙には被災地から感謝のメッセージがつづられている=鹿嶋市で

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 二〇一一年三月の東日本大震災で被災した宮城県七ケ浜町の復興支援を続けてきた女性がいる。鹿嶋市平井の認定こども園こじかで食育インストラクターを務める渡辺けい子さん(70)だ。渡辺さんや仲間たちの高齢を理由に、震災十年の二一年春で活動に一区切り付ける。最後を締めくくるのが大漁旗の寄贈だ。「集められる限り届けたい」と協力を呼び掛けている。 (水谷エリナ)

 七ケ浜町は渡辺さんの夫勝義さん(76)の故郷だ。震災時に震度5強、最大一二・一メートルの津波を観測。町面積の36・4%が浸水し、死者九十四人、行方不明者二人を出した。

 勝義さんの海岸近くの実家も津波に襲われ、母と兄夫婦が亡くなった。渡辺さんは「何かしてあげたい」と一一年八月から昨年三月までの間に計十四回のバスツアーを企画。現地のNPO法人「アクアゆめクラブ」と連携し、がれきの撤去作業に従事するボランティアに水や塩あめなどを届けたり、仮設住宅で暮らす被災者にカーネーションなどの花を贈って励ましたりした。

渡辺さんらが届け、大空を舞うこいのぼりと大漁旗=2012年5月、宮城県七ケ浜町で(渡辺さん提供)

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 海岸沿いの代ケ崎浜地区では、毎年五月のイベントで使うこいのぼりが津波で流された。そこで渡辺さんは、不用になったこいのぼりや大漁旗の提供者を募った。これまでに届けたのは、こいのぼり五百匹以上、大漁旗は約四十枚。それぞれ地元のイベントなどに活用されてきた。

 バスツアーには鹿嶋市の住民を中心として、鉾田や潮来、神栖市などの高校生らも参加してきたが、ほとんどが高齢者。渡辺さん自身の年齢も考えて「十年を区切りにしたい」と話す。

 渡辺さんによると、七ケ浜町には新しい家が立ち並び、サーフィンで人気を集める観光地に様変わりした。こうした前向きな変化を歓迎する一方、大漁旗に込めるのは震災の記憶の継承だ。「震災前の七ケ浜を思い出し、大漁旗が泳いでいるすばらしいところだと思ってほしい」と力を込める。

 大漁旗は購入することも可能だが、「気持ちが違う」と寄贈にこだわる。「真心のこもった大漁旗をいただくことで、(被災地で)勇気と希望を持って生きていくことができる」

 問い合わせや寄贈の連絡は渡辺さん=電080(3489)3389=か認定こども園こじか=電0299(82)0538=へ。

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