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【茨城】

台風で破損、神栖の防災アリーナ 肝心な時に使えず 市民から疑問の声

ガラスが割れるなどの被害があった「かみす防災アリーナ」=いずれも神栖市木崎で

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 県内でも大きな被害を出した台風15号の来襲から九日で一カ月。災害時に約一万人を収容できる施設として六月に開館した神栖市木崎の「かみす防災アリーナ」は当時、強風で破損したため休館し、市は住民向けの避難所として開放しなかった。これに、本紙読者部に「市の対応はおかしい」との声が届き、市にも同様な意見があったという。市の対応を振り返った。 (水谷エリナ)

 市によると、九日朝から十日昼ごろにかけ、市内最大約一万三千軒で停電が発生。停電地域の大野原コミュニティセンター(大野原)と、うずもコミュニティセンター(知手中央)を開放し、大野原に最多で四十四人が自主避難した。

 アリーナは台風の影響で、サブアリーナの天井近くある二重の窓ガラスの外側一カ所が割れたほか、軒下の防水シートが風でめくれ上がり、雨や風が入り込む被害があった。

 それにより、もともと休館日だった九日のほか、十日を臨時休館にした。市は「アリーナから約八百メートル離れた大野原を開放した方が、停電があった地区の住民にとって近くて避難しやすい」と説明。だが、市民からは「なぜアリーナを開放しなかったのか」と問い合わせが寄せられたという。

 アリーナは総事業費が約百七十億円と巨額なため、二〇一七年の住民投票で建設「見直し」を求める票が多数を占めたが、石田進市長が建設を続行し、今年六月にオープンした。そんな経緯もあって、肝心な災害時に使えないことに、市民から厳しい視線が向けられたというわけだ。

風でめくれたアリーナ軒下の防水シート(市提供)

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 一方で、休館した二日間、市は、停電と断水の被害があった鹿島学園(鹿嶋市)の寮で生活する高校生約三百人を受け入れ、避難所として使っていた。寮生を受け入れる施設が鹿嶋市内になく、対応したという。

 だが、市は広報しなかったことから、ほとんどの住民には知られていないようだ。住民団体「かみす市民の会」共同代表として建設の見直しを求めていた伯耆(ほうき)進さん(71)は「生徒の避難所として役に立てたのはいいこと。どういう理由で開けなかったのかも含め、市はちゃんと説明しないと」と注文を付けた。

 広報しなかったことに、市は「特に必要でないと判断した」と説明する。

 もう一つ問題がある。アリーナが台風の影響で破損したことで、今後も災害が起きた際に避難所として使えるのかも疑問を残した。

 鹿島学園の生徒を受け入れた際は運用に問題がなかったものの、地元選出の村田康成県議によると「防災の施設なのに壊れたのはどうか」という声が寄せられているという。

 伯耆さんも「経年で被害があったのならまだしも、まだ新しい施設。防災の冠をつけているところで被害があるのはおかしい」と問題視する。

 市文化スポーツ課の木村正朋係長は「ある程度の風速に耐えられるように設計しているが、防水シートがめくれてしまったのも事実なので、対応する。ただ、絶対に被害がないようにするのも難しい」と話した。

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