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【茨城】

60年余の歴史に幕、水戸のラーメン店「千代美」 消費増税で決断、店主の会田啓さん

消費増税を機に閉店したラーメン店「千代美」と店主の会田啓さん=水戸市南町で

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 消費税増税を翌日に控えた先月30日、水戸市で60年以上続いた老舗ラーメン店が静かにのれんを下ろした。近所の人やサラリーマンに親しまれてきた「千代美」だ。店主の会田啓(ひらく)さん(78)によると、心臓に持病を抱える妻の体調不良や設備の老朽化もあったが、今回の増税がダメ押しとなった。 (鈴木学)

 「八十歳で終わりにしようと思っていて、いつ区切りをつけるかという時ではあった。消費税率の10%引き上げは先送りになってきたので、今回も期待していたけど…。上がらなければ年内は続けていたよ」

 スープの香りがほのかに残る店で会田さんはそう話し、片付けの手を止めた。

 創業は一九五三(昭和二八)年。水戸商業高校を卒業後、東京での修業を終えた六三年から父親らと厨房(ちゅうぼう)に立った。自家製麺としょうゆベースのスープに国産豚のチャーシューを乗せたラーメン、皮にこだわったギョーザも自慢だった。

 大好きな仕事だったが、妻弘子さん(73)が体調を崩し、製麺機などの老朽化が進んだ。朝から晩まで働くきつさが身に染みているだけに、長男らに「後を頼む」と言えなかった。そこに消費増税がのしかかった。

 外食には8%の軽減税率は適用されない。「質を落とすのも、価格を据え置いて量を減らすのも嫌だった。かといって、年金暮らしやサラリーマンの常連さんらに負担をかけるのもね」と閉店を決断した。

 閉店の日が近づくと、毎日来てくれる人、厨房をのぞいて「ご苦労さま」と声をかけてくれる人が増えた。愛された店だったとあらためて感じた。「やりたい人がいれば託したい」と後継者を探している。

 今後やりたいことは食べ歩きだ。各地のラーメン店と交流をしながら「ラーメンが好きな人たちと『千代美会』といったサークルができたらいいね」と新たな夢を語る。

 問い合わせは会田さん=電029(221)5877=へ。

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◆県内企業の倒産増 帝国データ

 信用調査会社「帝国データバンク」水戸支店(水戸市泉町)は、消費税率が8%から10%に引き上げられた影響で、県内企業の倒産件数が今後増えると予想している。

 増税に伴って売り上げが落ち込むと、金融機関への借入金の返済が滞るほか、小売店が10%対応のレジを導入するなど多額の費用を設備投資に投入したにもかかわらず、収益が伸び悩む可能性がある。

 同支店の担当者は「倒産件数が増え、その中に消費増税も理由の一つとする企業が増えると考えられる」と話している。 (松村真一郎)

 

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