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【茨城】

台風19号上陸から1週間 無情の雨にため息 「片付け進めるしか」

 記録的な大雨をもたらした台風19号の上陸から1週間を迎えた19日、県内でも冷たい雨が被災地をぬらした。台風通過後初の週末となったが、ボランティアの姿はほとんどなく、被災者たちは不安を抱えたまま、泥にまみれた家屋などの片付け作業に追われた。

 水戸地方気象台によると、県内でも前線の影響で、十九日未明から昼前にかけて再び大雨となる恐れが強まっていた。多くの人が避難生活を強いられている水戸市と常陸大宮市、大子町では、雨脚の強かった同日午前四時から三時間の降水量が、それぞれ一八・五ミリ、一五ミリ、一六ミリ。正午までに雨はほぼやんだ。

 県災害対策本部によると、降雨による二次災害は確認されていない。避難所での避難者数は大雨の予報を受けて、十八日の二百四十二人から三百十五人に増えた。

 災害ボランティアを受け入れている水戸市など五市町は十九日、二次災害の可能性を考慮して受け入れを中止したが、二十日に再開する予定。各ボランティア担当窓口では「家屋などの片づけのため、多くの人手を必要としている。力を貸してほしい」と協力を呼び掛けている。 (佐藤圭)

◆水戸の被災地 ボランティアまばら

ボランティアの姿もなく、閑散とした被災地の住宅街=水戸市岩根町で

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 近くを流れる那珂川支流の藤井川の堤防が決壊し、浸水被害を受けた水戸市藤井町や岩根町にも無情の雨が降り注いだ。被災者たちは「雨でも片付けをしなければならない」と自らを励ましていた。

 町中に入り込んだ泥は十八日までに乾き、車が通行するたびに砂ぼこりが舞っていた。十九日は雨の影響で泥が再びぬれ、砂ぼこりは収まったが、歩道などでぬかるむ場所もあったほか、鼻をつくようなにおいが漂った。

 「大雨の予報もあったけど、今日やっと休みになったから片付けを進めるしかない」。藤井町の公務員男性(50)は、デッキブラシとホースを使って自宅前の泥を洗い流した。午前中は小雨が降り続き、肌寒さも感じられた。男性は「近くには高齢者もたくさん住んでいる。雨でぬれて冷えてしまい、体調を崩さないか心配だ」と気遣った。

 大雨となる恐れがあったため、この日のボランティア活動は中止され、家や店舗などの前で片付けをする人の姿はまばらだった。十八日に通行止めが解除されたばかりの国道123号沿いを中心に、建設会社の作業員らがごみの回収を進める姿が目立った。

緊急復旧作業が進む藤井川の堤防=水戸市藤井町で

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 岩根町にある姉の店の片付けを手伝っていた小圷章水(こあくつしょうみ)さん(67)は「ボランティアのおかげで片付けがかなり進んだ。今日やっと市がごみの回収にも来てくれた」と前向きだ。親族らと一緒に、敷地内に積み上がっていたごみを道路などに運び出していた。

 「この天気だから仕方ないね」。和菓子屋を経営する男性(80)は野外での作業を見送った。正午前に雨が上がると、車についた泥を洗い流した。「また台風が発生したというから、不安が大きい」と心配顔だった。

 決壊した藤井川の堤防では、土のうや土を積むなど緊急復旧作業が進む。水戸常北歯科の増田友邦院長(39)は「藤井川などは過去にも氾濫して浸水被害が出ているから、土を盛るだけでなく、改良すべきでは」と疑問を呈した。 (水谷エリナ)

◆15号では開放しなかったが… かみす防災アリーナ 今度は避難所に

台風19号では避難所として活用されたかみす防災アリーナ=神栖市木崎で

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 県内にも大きな被害をもたらした九月の台風15号が来襲した際に避難所として開放されず、住民から批判を浴びた神栖市木崎の「かみす防災アリーナ」。台風19号ではいち早くアリーナに避難所を開設し、最大四百六十六人が利用した。

 市が台風19号でアリーナに避難所を開設したのは、日本列島上陸前日の十一日午後三時。県内を通過した十二日には多くの避難者が一泊し、市は毛布を貸し出したほか、非常食を提供した。

 市内では利根川が増水し、河口近くの波崎などで浸水被害があった。十六日までに十三棟の床上浸水と七十八棟の床下浸水が確認されている。

 市は災害対策基本法に基づき、災害時に避難したり、家に戻れなくなったりした住民らを滞在させる目的で指定避難所を三十九カ所定めている。台風15号来襲前は、このうち六カ所が、台風や大雨の影響で災害の発生が懸念される場合などに住民の要望を受けて開設する自主避難所になっていた。アリーナは指定避難所になっていたが、自主避難所からは外れていた。

 市防災安全課によると、九月九日朝に本県を直撃した台風15号の影響で停電が発生し、停電した地域にある自主避難所二カ所を開放した。アリーナが住民に開放されなかったことに対し、市民からは「なぜ開放しなかったのか」「開けてほしかった」などと疑問の声が上がった。

 アリーナは、約百七十億円と巨額な総事業費が問題視され、二〇一七年の住民投票で「見直し」を求める票が多数を占めた。しかし、石田進市長は見直しを断念し、今年六月にオープンしたばかり。にもかかわらず、肝心の災害時に使えないことに厳しい視線が向けられたわけだ。

 こうした批判を念頭に、市は今月一日、アリーナを自主避難所に指定し、市民が避難所として利用しやすくなった。市防災安全課の山本明課長は「台風15号では大きな被害が出た。今回は例にないくらい避難者が多かった。市民の防災意識が高くなっている」と話している。 (水谷エリナ)

◆県もあすから臨時バス運行 常陸大子−常陸大宮

 県は十九日、JR水郡線で不通となっている常陸大子(大子町)−常陸大宮(常陸大宮市)の日中の移動手段を確保するため、二十一日から臨時バスを運行すると発表した。

 既にJR東日本が、同じ区間で朝夕に一日四往復(八便)の臨時バスを運行している。県は三十一日まで、常陸大子発を四便、常陸大宮発を四便走らせる。運賃無料。 (水谷エリナ)

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