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【茨城】

「常陸秋そば」にも 台風19号直撃 今年の年越しそば出荷に影響も…

台風19号の影響で水没したソバ畑を前に「全滅です」と話す宮本弘さん=常陸太田市中野町で

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 台風19号は、秋の味覚にも大打撃を与えた。「常陸秋そば」のブランド品種で知られ、ソバ収穫量で全国3位を誇る本県では、収穫直前のソバ畑が浸水し、壊滅的な被害が出ている。台風による被害面積は東京ドーム255個分に上る。今年の年越しそばの出荷にも影響が出かねず、産地の常陸太田市を歩くと、ソバ農家とそば店からは不安の声が上がっていた。 (水谷エリナ)

 「このあたり一帯、全滅ですよ」。常陸太田市中野町でソバ畑を持つ宮本弘さん(77)は、そう悔しさをにじませた。

 ソバ畑は南北に流れる久慈川の支流西側に約一ヘクタールに広がり、今は砂ぼこりをかぶり、茶色がかっている。

 宮本さんが十三日午前九時ごろ、畑の様子を見に来た時にはすでに、久慈川から畑に大量の水が流れ込み始めていた。翌日、再び畑に来ると、水は引いていたが、ごみや泥がたまり、ソバの実はすべて流されていた。

 畑からは、十月中旬ごろに七十五キロ〜百キロを収穫できる見込みだったという。「無事、育っていたものが突然、消えてしまった」と落胆する。

 過去にも久慈川などが氾濫し、水が畑に流れ込んでくることもあったというが、「これほどの氾濫を見たのは初めてだった。楽観していて、まさか、という思いだった」と打ち明ける。県内各地にいるソバ農家の知人の中には、台風15号でも被害を受けている人もおり、「今年はソバの生産が少ないんじゃないか」と懸念する。

 市農政課によると、市内のソバ畑約二百四十二ヘクタールのうち、およそ16%に当たる約三十八ヘクタールが水に漬かった。県のまとめでは、県全体で被害を受けたソバ畑は東京ドーム二百五十五個分の約千二百ヘクタールで、被害額は約八千万円に上る。

 市内でそば店「手打ちそば赤土」を経営する海老根孝さん(62)は「いつも仕入れている金砂郷地区のソバが確保できないかもしれない。どうしようかと困っている」と話す。

 そばを製造販売する麺匠(めんしょう)ひたちや(常陸太田市下利員(しもとしかず)町)の黒羽宏一社長(66)は「被害がひどいという話を聞いている。仕入れの量は、平年の半分くらいになってしまうのではないか」と心配する。

<常陸秋そば> 県北の旧金砂郷町(現常陸太田市)赤土町周辺の在来種がルーツ。県が1978年から、ソバのブランド品種の育成に取り組み、誕生させた。実は粒ぞろいで大きく、芳醇(ほうじゅん)な香りとほのかな甘みを感じる豊かな味わいが特徴。最高峰の玄ソバとして高い評価を受けている。農林水産省によると、県の2018年のソバ収穫量は北海道、長野県に次ぐ多さ。

 

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