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【茨城】

台風19号から1カ月 大子町ルポ 消えぬ爪痕 戻る日常

JR水郡線の流失した橋梁の近くで、倒れたままになっているガードレールや竹=いずれも大子町で

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 台風19号で久慈川などが氾濫した大子町は、高齢女性一人が死亡したほか、役場がある中心部などが床上浸水し、住宅や医療機関に甚大な被害が出た。台風から一カ月たち、少しずつ日常を取り戻しつつあるが、爪痕は色濃く残っている。町を歩いた。 (水谷エリナ)

 町役場向かいの生花店の前に、鮮やかなパンジーが並ぶ。店を営む内田輝子さん(74)は、店舗兼住宅が床上浸水する被害に遭ったが、約一週間前に営業を再開した。店の片付けを優先し、住まいは後回し。内田さんは「まだ自宅には住めないので、町内の娘の家から通っている。いつ元の生活に戻るか分からない」という。

 先行きは見えないが、知人らが片付けを手伝ったり、励ましてくれたりして勇気づけられた。「みなさんの優しい言葉が心にしみて、それで涙が出た。周りの力を借りて前進したい」と力を込めた。

 町役場が立地する大子地区では、足の甲が漬かるほどたまった泥は、ほとんどが撤去された。歩道に一部、乾いた泥が残り、強い風が吹くと、砂ぼこりが舞い上がった。水に漬かった家具などが運び出され、空になった家や店舗も目立つ。

電気が復旧し、日常が戻りつつある介護老人保健施設「やすらぎ」

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 久慈川支流から約百メートル離れた介護老人保健施設「やすらぎ」では、約九十センチの床上浸水があった。浸水前に一階の高齢者約四十人を二階に移動させていたため、人的被害がなかった。ただ、停電で不便な生活が続いた。

 安達栄治郎施設長(69)は「いつもより誤嚥(ごえん)性肺炎や、ぼうこう炎になる人が多かった。ストレスが多かっただろうなと思う」と話す。約一週間で電気が復旧し、二階に移された高齢者も一階に戻り、表情は明るく見えた。

 安達施設長は「気をもむことが多かったけど、結果的にうまくおさまった」とほっとした様子。施設では、浴場や調理室などの設備は使えるようになったが、入浴を補助する機械はまだ使えないなど影響は残る。

 大子地区には、町内の六病院のうち、五つが集中し、いずれも浸水した。町によると、すべて診察を再開したという。

 JR水郡線の橋梁(きょうりょう)が流された南田気地区。川底に砕けた橋脚が横たわったままになっている。周辺もガードレールが倒れたり、竹がなぎ倒されたりしたままで、水の勢いのすさまじさを物語る。

 川では、作業員が橋げたや橋脚の撤去を進めていた。JR東日本水戸支社によると、作業は十一月下旬ごろ完了予定。ただ、町内の西金−常陸大子の運転再開の見通しは立たない。

JR水郡線の倒壊した橋げたなどの撤去作業を進める作業員

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