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【茨城】

<ひと物語>優しい味わい目指す 結城酒造女性杜氏・浦里美智子さん(42)

「女性も気軽に飲めるお酒を造りたい」と意気込む浦里美智子さん=結城市で

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 「口当たりの柔らかい、ふくよかな香りがするお酒を目指している」。少なくとも江戸時代から続く結城市の酒蔵「結城酒造」で、五年前から女性杜氏(とうじ)として酒造りを監督している。

 十二年前に、夫の昌明さん(43)の実家である結城酒造に嫁いだ。初めは酒造りに携わるつもりはなく、昌明さんからも「他の仕事をしていいよ」と言われていた。

 当時は、安価な酒を造っていたが、全国的に日本酒の売り上げが下がるなか、結城酒造も業績が低迷。家業を手伝わざるを得ない状況で、コメを運んだり、配達をしたりと、酒蔵の仕事を徐々に始めた。

 働く以前は、日本酒を飲むことは少なかったが、酒蔵で飲んだ搾りたての新酒の味に感動。各地の酒を飲み比べるようになった。

 長男が保育園に入った八年前に、酒造りを勉強しようと、県産業技術イノベーションセンターの研修に参加。こうじや香りの出やすい酒の造り方を実践的に学び、酒造りの難しさを実感したとともに、「酒造りへのやる気が出て、挑戦したいと思った」。

 その年の冬、従来造っていた酒よりも質の高い酒米「雄町」を使った純米吟醸「結(むすび)ゆい」を醸造。初めてながらも、出来栄えは自分が目指していた味や香りに近かった。

 だが、地元の酒販店では、それまで取り扱っていた酒よりも高い純米吟醸は置いてもらえず、相手にされなかった。そんな中、インターネットで情報を知った都内の酒販店から取引の依頼があり、置いてもらえるようになった。

 都内で取り扱いが増えると評判が広がり、県内の酒販店でも、「逆輸入」で取り扱ってもらえるようになった。今では全国各地に出荷している。

 酒米は、山田錦や五百万石のルーツとされる酒米「雄町」にこだわる。二年前には、全国新酒鑑評会で金賞を受賞。翌年も二年連続で輝き、自信を深めた。

 県などが本年度創設した「常陸杜氏」の認証試験に合格し、初の常陸杜氏として、ほかの男性杜氏二人とともに、十一月に認定証を受け取った。

 「資格に恥ずかしくないようなお酒を造りたい」と意欲を語るとともに、「女性で唯一選ばれたので、子育てと仕事、勉強を両立し、世の中の女性の励みにもなったらうれしい」と、県内で二人しかいない女性杜氏ならではの思いも口にした。

 目指すのは、女性も気軽に飲める優しい味わいの酒。「自分好みのお酒を究めたい」 (松村真一郎)

 

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