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【茨城】

6市町つなぐ350キロ 「県北ロングトレイル」構想

参加者に植生の違いを説明する石川弘樹さん(左手前)

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 県北六市町をつなぐ長距離自然遊歩道「県北ロングトレイル」構想が進んでいる。県などが現在、具体的なコースを選定中だ。実現すれば、全長三百五十キロと全国屈指の長距離コースが誕生する。大子町で先月に実施されたモニターツアーに記者も参加した。 (松村真一郎)

 今回のモニターツアーは、山の中を走るトレイルランニング。記者はトレランの経験がある。

 昨年十二月二十二日午前八時、参加者約三十人が大子町の観光名所「袋田の滝」の駐車場に集合した。プロトレイルランナーの石川弘樹さん(44)が同行し、最初の目的地である生瀬富士(四〇六メートル)を目指す。

 途中の山道で突然足を止めた石川さんが、参加者たちに「左右で植生が違うのに気付きましたか」と問い掛けた。足元にばかり気を取られていたが、顔を上げると、確かに右側の斜面には杉が広がるが、左側に杉は一本も見当たらない。杉は人工的に植えられたとみられ、石川さんは「こういった植生の違いにも目を向けると面白いですよ」と教えてくれた。

急峻な岩場が続く生瀬富士の山頂付近=いずれも大子町で

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 急峻(きゅうしゅん)な岩場を登っていくと、生瀬富士の山頂に到着した。下り始めて間もなく、袋田の滝が崖下に見えた。下から眺めれば迫力ある大きな滝も、崖の上からは小さく感じられた。

 次の鍋転(なべころばし)山(四二二メートル)までは、倒木ややぶが多い未整備の山道をかき分けていく。ここでも、石川さんが「初めて来た山では、迷っても戻れるように、前だけでなく後ろも確認しながら進むといい」とアドバイスをくれた。

 その後、月居(つきおれ)山(四〇四メートル)の山頂に到達し、発着点の駐車場まで駆け降りた。この日は、約十キロのコースを五時間かけて回った。

 参加した水戸市の会社員、宮川孝康さん(44)は「生瀬富士は初めて来たので、こんな山があったのかと気付かされた。崖の場所もあったので、プロジェクトのコースに入れるとしたら、何かしらの注意が必要だろう」と話した。

 モニターツアーを企画したのは、水戸市とつくば市でアウトドア専門店を展開するナムチェバザールの和田幾久郎(いくお)代表(52)だ。

 和田さんは「身近だが初めて通ったという山もあり、プロジェクトへの期待の高まりを実感した」と手応えを語る。その上で「ただコースを整備するのではなく、県北ならではのトレイル文化をつくり、移住といった地域活性につながるといい」と意義を強調した。

◆体験型 観光交流目指す

 「県北ロングトレイル」構想は、県北6市町(日立、常陸太田、高萩、北茨城、常陸大宮、大子)の観光地や温泉地などをハイキング道や林道でつなぎ、体験型の観光交流の推進を目指す。

 県は3年かけて整備する方針で、本年度は900万円の関連予算を計上した。県北振興局は「県北は標高の高い山が少なく、初心者でも気軽に訪れ、里山の文化を感じることができるはずだ」としている。

 ナムチェバザールが現地調査や関連イベントを開催しているほか、現時点で200人を超えるボランティア協力隊がコースの整備や保全活動を手伝っている。

 ロングトレイルは、登山道や散策道を歩いたり走ったりしながら、その地域の自然や歴史、文化に触れることが目的。欧米で長く親しまれ、近年は日本でも増えている。

 日本ロングトレイル協会のホームページによると、整備中も含めて国内には25コースが選定されているが、県内にはなかった。全長が100キロを超すコースも少なくないが、県北ロングトレイル構想で検討されている全長350キロは指折りの長さだ。

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