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【茨城】

認可外保育施設、5年で死亡事故4件 県の情報公開不十分

2018年の男児死亡事故についてまとめた検証報告書

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 水戸市の認可外保育施設で二〇一八年九月、生後二カ月の男児が死亡していたことが分かった。国の指導監督基準を満たしておらず、県が行政処分の検討を始めた時だった。県内の認可外保育施設では一五年以降に四件の死亡事故が発生しているが、県は詳細を公表しない事故もあり、識者は、情報公開が不十分で再発防止に生かせられないと批判する。 (鈴木学)

 水戸市のこの施設は既に廃止届が出され、現在は運営されていない。県は事故後、有識者による検証委員会を設置。再発防止に向けた報告書がまとめられ、昨年十月、県のホームページに掲載したが、報道発表はしていない。

 報告書によると、男児が死亡したのは二十四時間開所のベビーホテル。一八年九月一日午前三時半ごろ、母親が迎えに来た際に施設長が寝ていた男児を抱き上げたところ、冷たくなっており、病院で死亡が確認された。死因は特定できなかった。

 当時、男児はうつぶせ寝だった。乳幼児突然死症候群を防ぐため、国の基準ではあおむけに寝かせるよう定めているが、守られていなかった。また、職員の三分の一以上は保育士などの有資格者でなければならないが、施設長を含め職員三人は全て無資格だったなどの違反もあった。

 県子ども未来課によると、この施設は設置届が提出された一二年度以降、保育士の確保などを繰り返し指導してきたが、改善がみられなかった。死亡事故は、行政処分を前提とした立ち入り調査を実施した後だったという。

 子ども未来課は昨年、県内の認可外保育所で五年間に四件の死亡事故の発生があったことを明かした。

 しかし、今回の死亡事故のほかに詳細が明らかになったのは、一五年六月、つくば市の認可外保育施設で一歳五カ月の男児が浴槽で溺死し、業務上過失致死の罪で経営者の女性が地裁支部で有罪判決を受けたケースだけ。

 残る二件のうちの一件は、今回と同じとみられる水戸市の施設で一六年七月に起きたゼロ歳女児の死亡事故。施設名は明らかにされていない。もう一件は、一五年に発生したこと以外は伏せている。

 詳細を公表しない理由について、萩本浩志課長は「国による指針などがない」と主張。一六年の死亡事故は検証しようとしたが、「当時は検証に必要な情報を関係者から得られなかった」としている。

 識者はどう見るか。保育事故に詳しい寺町東子弁護士は「保護者にとっての重要情報を行政が隠すのはおかしい。公表すべきで、事故対応も含め保護者は子どもを預ける判断をするし、事業者側も前向きに改善する姿勢があれば、事故が起きた事実を公表されただけで決定的なダメージにはならない」と言い切る。

 また、一八年の死亡事故は報告書を読む限り、県の指導監督が「雑に見える」と指摘する。

 「事故があった施設は無資格者のみの保育で、避難訓練をしない、保護者の緊急連絡先の整備が不十分、調乳に携わる職員の検便をしないなどが常態化していた。それで運営を継続させたのはなぜか。悪質な施設を排除するのが行政の役割だ。行政の指導監督が保護者にとっての命綱で、県の監督指導態勢がまず課題ではないか」と疑問を投げ掛けた。

◆県20年度から 立ち入り調査結果公表へ

 水戸市の死亡事故の検証委は報告書で、認可外保育施設の立ち入り調査結果の公表の検討を求めるなどの提言をした。県は提言を基に2020年度から、認可外保育所に関して保育従事者や有資格者の数などの情報とともに、調査結果を公表する方針を決めた。

 県子ども未来課によると、施設立ち入りの権限を移譲しているつくば市など32自治体は自前で、残りの水戸市など12自治体は県が調査している。現在、結果を公表しているのはつくば市だけだという。

 権限を移譲している自治体と足並みをそろえる必要があるため、公表の基準を近くまとめる。調査終了後、速やかに公表するのか、ある程度まとまってから公表するのかは、これから決めるとしている。

 提言にある巡回指導は既に始めた。また、睡眠中の子どもの状態をきめ細かく観察し、口頭のやりとりだけでなく、書面や電子媒体に記録することも求めている点については、書式を作成中としている。

 

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