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【茨城】

<ひと物語>おばあちゃんが主役 県北地域のフリーペーパー創刊・日坂奈央さん(24)

細谷英子さんをイメージしたドレスの横で、「夢ちどり」創刊号を手にする日坂奈央さん。表紙の写真は若き日の細谷さん=常陸太田市で

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 県北地域のおばあちゃんを紹介するフリーペーパー「夢ちどり」を昨年十二月に創刊した。おばあちゃんというと、「元気がない」といったマイナスイメージを抱きがちだが、県北地域の女性たちは活動的で好奇心旺盛だ。「自分のような若者にこそ、たくましさや美しさといった女性たちの本当の姿を知ってほしい」と取材に走り回る。

 兵庫県出身。茨城との縁は好物の干しいもだ。神戸芸術工科大(神戸市)ファッションデザイン学科の学生時代、干しいもの国内シェア九割以上を誇る茨城をわざわざ訪れるほどだった。

 大学卒業直後の二〇一八年五月ごろ、県北地域でアートを活用した地域活性化を担う「県北地域おこし協力隊」に応募。同年十月に県から隊員を委嘱され、協力隊事務所がある常陸太田市に移住した。

 具体的な活動は定まっていなかった。「服を作りたいけど、何をやっていいか」と悩んだ。知人に相談したところ、「地域にはいろんなおばあちゃんがいる」と教えてもらった。そこで思い付いたのが、おばあちゃんが主役のフリーペーパーだった。

 取材から編集まで一人で手掛ける。創刊号で取り上げたのは常陸太田市の細谷英子さん(79)。出会いは、コケを描くワークショップだった。崖をよじ登ってコケを採取する姿に圧倒され、取材を申し込んだ。断られてもめげずに説得を繰り返し、インタビューにこぎつけた。

 太平洋戦争やその後の食糧難、結婚、仕事のことなどを書き記した。得意の服飾も生かし、本人をイメージしたドレスを作った。「大胆なところもあるけど、本当は優しいということを表現した」。細谷さんの好きなピンクや花柄を基調に、毛糸のカーネーションを付けた独創的なデザイン。ドレスを着た細谷さんの写真が紙面を飾った。細谷さんは「かわいくてうれしい」と喜んだ。

 創刊号は十六ページ。縦長のタブロイド判で文字サイズも大きくした。二千部を作製し、常陸太田市内の店舗や水戸芸術館(水戸市)で配っている。

 次号以降も県北地域のおばあちゃんを紹介する予定。「活動がどういった効果を生むかは分からないが、地道に続ければ、おばあちゃんと若者がつながるきっかけになるかもしれない」。世代を超えた交流の輪が広がることを願っている。 (松村真一郎)

     ◇

 日坂さんが作った衣装を紹介する展示会が20日〜3月8日、常陸太田市西一町の事務所「メゾン・ケンポク」で開かれる。午前11時から午後6時まで。月、火曜休み(24日は開館)。入場無料。問い合わせはメゾン・ケンポク=電080(8740)6912=へ。

 

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