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【囲碁・将棋】

豊島二冠、10日から名人戦 最初の師匠・土井さん「意識せず臨んで」

豊島二冠と出会った関西将棋会館道場で、当時を振り返る土井春左右さん=大阪市福島区で

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豊島将之二冠

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 将棋界で最も伝統あるタイトルの第七十七期名人戦七番勝負が十日、東京都で開幕し、豊島将之二冠(28)=愛知県一宮市出身=が、佐藤天彦(あまひこ)名人(31)に挑む。勝てば中部地方出身者初の名人の誕生となる。豊島二冠の才能を幼少期に見いだした指導棋士七段の土井春左右(はるぞう)さん(83)=大阪府泉佐野市=は「他のタイトル戦と同じように意識せず臨んで」とエールを送る。

 豊島二冠は四歳のとき、棋界の第一人者である羽生善治さん(48)らを特集したテレビ番組を見て将棋に興味を持ち、母親から駒の動かし方などを学んだ。五歳で大阪府豊中市に転居し、訪れた関西将棋会館道場(大阪市)で出会ったのが嘱託職員として働く土井さんだった。

 「『対局を見せてほしい』と言われて。五歳だからすぐ飽きて帰るだろうと」。だが一時間後も、アマ有段者の対局をじっと見続けている。試しにアルバイトの学生と一局指させると、負けはしたが指し手に一貫性があった。「これだけ集中力のある子は一万人に一人。絶対プロになると思った。お母さんに『将棋に向いている。連れてきたら強くなる』と伝えました」

 以降、土井さんは仕事の合間に道場で週一回程度、指導を始めた。豊島少年ののみ込みは早く、小学一年でアマの段位を獲得。土井さんが主宰する同好会でも腕を磨き、アマ六段になった三年の夏、プロ養成機関「奨励会」へと羽ばたいた。「定跡は一度で覚える。対局すると、こちらが気付かない手を必ず一つは指しました」と当時感じた才能の一端をうれしそうに話す。

 十六歳でプロ入り後はタイトル獲得に苦労したが、昨年は棋聖と王位を手にして棋界トップに躍り出た。「教え子のタイトル獲得が夢」と常々語ってきた土井さん。「これで名人になったら…思い残すことなんてありません」。ずっと見守ってきた豊島二冠のさらなる活躍を願う。

(世古紘子)

 <指導棋士> 日本将棋連盟から依頼された将棋の普及・振興活動を担う。プロ養成機関「奨励会」で初段以上になった会員が退会し、連盟に申請して受理されると資格を得られる。2019年4月現在で全国に67人おり、七段が最高位。

 

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