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【囲碁・将棋】

囲碁の仲邑初段、支え続けた両親

韓国で修業に励んでいた仲邑菫さん。平日は道場、週末はプロ棋士が所属する「韓国棋院」に通って腕を磨いた。右は父信也さん=日本棋院提供

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母幸さん=東京都千代田区で

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 史上最年少で囲碁のプロ棋士になった仲邑菫(なかむらすみれ)初段(10)=大阪市=が二十二日、デビュー戦に臨む。三歳で囲碁を覚え、七歳から韓国で研さんを積んだ。現役最強棋士の井山裕太天元(29)も「天下を狙える」と驚くほどの才能が開花した背景には、一人娘の成功を信じ続けた両親の支えがあった。

 菫さんは東京都内で生まれ、五歳で大阪市内に移るまで埼玉県内で育った。父信也(しんや)九段(46)がプロ棋士、母幸(みゆき)さん(38)もアマ強豪で、夫婦で囲碁教室を開いており、菫さんは赤ん坊のころから碁石で遊んでいた。三歳になってすぐ、幸さんが囲碁の初歩を「試しに教えてみた」ところ、すぐ要領をつかんだ。「早く打てるようになる子でも四歳くらいなので、この子はできるんだと驚いた」

 両親の囲碁教室に通い始めると、年上の子を次々と追い抜いた。アマ強豪の幸さんは七歳の時に並ばれたと感じたという。「今では何か指導すると『(お母さんは)弱いのに言うな』となる。『昔あんなに教えてあげたのに』と言い返したら『覚えていない』だそうです」と苦笑いする。

 小学二年の時、両親は韓国で修業させることにした。かつて世界一だった日本囲碁界は近年、韓国と中国に大きく後れを取っている。「囲碁を打つ子の人数もレベルも親の情熱も全然違う。娘が将来世界で戦うなら、いま努力しないとと思った。前向きに頑張るのは楽しいことなので、家族みんなでやろうと決めた」と信也さん。

 はじめは年三回だった一家での韓国滞在は毎月に増え、昨年七月からの五カ月間はソウルに部屋を借りて住んだ。韓国の有望な子どもたちは朝、学校に顔だけ出すとすぐ道場にやって来てひたすら碁を打つ。菫さんが大阪で通学している公立小も、韓国で長期修業することに理解があったことも幸いした。「校長も担任の先生も『一つのことを頑張るのはすばらしい』と応援してくれた」(幸さん)。

 着実に腕を上げ、現地の小学生大会で優勝。韓国棋院のプロ候補生にもなった。日本棋院は昨年末、通常の試験が免除される推薦制度を新設してまで、菫さんをプロに迎え入れた。

 「始めた日から、娘は一日も囲碁の勉強を休んだことはない」と信也さんは言い切る。「まだ技術的に足りない面も多いが、負けることを怖がって手が縮こまるということが全くない。面白い碁を見せてくれると思う」と期待を寄せた。菫さんは二十二日に大阪市内で、テレビ棋戦の「竜星戦」予選を同じくこの春プロ入りした大森らん初段(16)と戦う。

 (樋口薫)

 

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