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【囲碁・将棋】

女流王位戦25日開幕 初防衛か「クイーン王位」か

 将棋の渡部愛(まな)女流王位(25)に里見香奈女流四冠(27)=女流王座、女流名人、女流王将、倉敷藤花=が挑む第三十期女流王位戦五番勝負(中日新聞社主催)が二十五日に開幕する。前期と同じ顔合わせ。初女流タイトルを獲得した渡部は自身初の防衛戦で、連覇を目指す。里見は二期ぶりの復位とともに、通算五期で獲得できる「クイーン王位」が懸かる戦い。両者の抱負を聞くとともに、飯島栄治七段と、渡部が所属する日本女子プロ将棋協会(LPSA)の代表理事である中倉宏美女流二段の二人に、勝負を占ってもらった。

◆自分の力出し切る 里見香奈女流四冠

里見香奈女流四冠

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 前期はすごいうっかりがあったり、不出来な将棋を指したりと、反省点が多かった。第二局以降は気持ちを切り替えたつもりでしたが、渡部さんの力が存分に発揮されたシリーズになってしまいました。失冠後は少しでも力をつけたいという思いがあり、今は自分のやりたい将棋が指せているように思います。渡部さんは一手一手腰を落として考えていて、すきがないという印象。女流六冠など、注目していただけるのはありがたいことです。目の前の対局に集中し、自分の力を出し切りたい。

 <さとみ・かな> 1992年、島根県出雲市生まれ。森けい二(けいじ)・九段門下。2004年女流2級(プロ入り)。08年、第16期倉敷藤花戦で初タイトル獲得。11年5月に奨励会に1級で編入し、7年ほど在籍した。同10月に女流五段。13年、女王奪取で史上初の女流五冠を達成。タイトル通算獲得数は、女流王位4期を含む35期。永世称号はクイーン名人など三つを持つ。攻めの鋭さと粘り強い棋風。

◆挑む気持ちで戦う 渡部愛女流王位

渡部愛女流王位

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 女流王位になり、タイトル保持者としてのお仕事があったり、男性棋戦に出られたりと、貴重な経験をさせていただきました。昨年度はタイトル獲得という結果は出ましたが、里見さんのように安定して勝つほどの実力はまだないなと感じています。今シリーズは地元・帯広で指せるのがうれしいですね。里見さんはずっとトップを走っていますし、今は女流六冠、七冠が見えてきている状態。そんな里見さんと戦えるのも楽しみです。前期と同じく、里見さんに挑む気持ちで戦いたいと思います。

 <わたなべ・まな> 1993年、北海道帯広市生まれ。日本女子プロ将棋協会所属で、師匠はいない。2013年、女流2級(プロ入り)。14年、第41期女流名人戦でリーグ入り。15年、第1回女子将棋YAMADAチャレンジ杯で優勝。翌年、2連覇を達成した。女流王位戦は第25期で初のリーグ入り。前期、女流タイトル初挑戦で奪取し、女流三段に昇段した。本格派の居飛車党。

■中倉宏美女流二段 渡部、強さに貪欲 

■飯島栄治七段 序盤は里見次第 

女流王位戦の見どころについて話し合う、中倉宏美女流二段(左)と飯島栄治七段

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 −挑戦者は、里見女流四冠になりました。

 飯島 女流王位失冠後の成績がすごいですよ。昨年秋に行われた三つのタイトル防衛戦は、危ないところがなかった。

 中倉 昨年三月に奨励会を退会しました。女流棋士のトップと奨励会員の両方をやっていたのは、しんどかったと思います。女流棋士一本になって、吹っ切れた部分もあるのではないでしょうか。

 飯島 奨励会には七年いて、三段までいきました。精神的につらかったでしょう。ただ、女流王座戦第三局に同行していたときは、明るい雰囲気でした。男性棋士や奨励会員との研究会は続けているようで、将棋への打ち込み方は以前と変わりません。

 −対する渡部女流王位は?

 飯島 将棋は男性棋士とも変わりがないです。王位戦予選の川上猛七段戦は名局で、彼女の強さが出た内容でした。奨励会に入らずに、ここまで強くなれたことが素晴らしい。

 中倉 「男性棋士にも通用する将棋」を目標に、同郷の野月浩貴八段から教わっています。強くなることに貪欲ですね。

 飯島 対振り飛車が得意だと思いますが、相居飛車も強いです。それだけで、相当な努力を積み重ねていることが分かります。

 −前期五番勝負を振り返って。

 中倉 第一局は里見さんにとって、奨励会の退会後で初の対局でしたが、得意の終盤で信じられないミスが出てしまいました。また、両者は初対戦でもあったので、第一、二局は渡部さんを探っていたところもあったかと思います。

 飯島 僕は第三局が大きかったと思いますね。渡部さんが中盤でリードを奪うと、穴熊の特徴を生かして逃げ切りました。シリーズ全体で見ても、渡部さんはミスが少なかった。

 −今期の見どころは?

 飯島 振り飛車の戦術は一年前とあまり変わっていないので、中盤以降の戦い方が大事になってくるでしょう。両者、男性棋士のように、終盤で自陣に手を入れて守りを固めることができるタイプ。レベルの高い終盤が見られると思います。

 中倉 前期は里見さんの中飛車が多かったですが、将棋ソフトでの解析も加えて、さらに深く研究している局面もあるでしょう。里見さんも、中飛車以外の戦法を出してくるのかもしれません。

 飯島 確かに、序盤は里見さん次第ですね。前期は渡部さんの事前研究が感じられたので、向かい飛車や三間飛車などの変化球は十分に考えられます。序盤から緊張感のある対局になりそうです。

 中倉 渡部さんがプロになったころ、里見さんはすでにトップにいました。実績が違うのでライバルとは言えないでしょうが、今回の防衛戦では渡部さんの地元での対局もあり、気合が相当入っています。

 飯島 渡部さんは長い持ち時間が合っていると思うので、今回もまったくの五分とみます。初戦が大事ですが、三局で終わることはないでしょう。第五局まで見たいですね。

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