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【囲碁・将棋】

「若い棋士が刺激に」 最多勝利タイの羽生九段

将棋の第60期王位戦リーグで谷川浩司九段(左)を破り、歴代最多に並ぶ公式戦通算1433勝を挙げた羽生善治九段=23日午後、東京都渋谷区の将棋会館で

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 将棋プロ棋士の通算勝利記録を二十三日に、歴代最多タイとした羽生善治さん(48)。熱戦の余韻か、終局直後の声は、ややかすれていた。対局は、中盤で羽生さんが不利になり「記録は難しいかなと思い指していた」というが、そこから勝負手を放って逆転勝ち。相手は、何度もタイトルをかけて争ってきたライバルの谷川浩司九段(57)。一九九六年に史上初の全七冠同時制覇を成し遂げた時の相手でもあった。

 勝利を重ねられた要因を聞かれ「自分なりに工夫し、戦術面の変化を取り入れることを心掛けてきた」と羽生さん。三冠を獲得した豊島将之(とよしままさゆき)王位(29)や最年少棋士の藤井聡太七段(16)ら若手の台頭が著しいが、「若く強い棋士の存在が刺激になっている」とも述べた。

 「令和の時代は、自分がどこまで頑張れるかだと思う」としつつも「最近の方が、将棋は奥深いと思うことが多くなり、モチベーションは変わらない。再びタイトルの舞台に立てるよう頑張りたい」と、新記録とともに王位奪還に意欲を示した。

◆勝率7割超、40代で大記録

 大山康晴十五世名人が千四百三十三勝目を挙げたのは一九九二年六月。その一カ月後には六十九歳で死去している。生涯現役を貫いた将棋界の巨人が、半世紀かけて達成した大記録に、羽生善治さんは四十代で並んでしまった。

 特筆すべきは負けの少なさだ。羽生さんは五百九十敗と大山名人の達成時より二百近く少ない。ほとんどがトップ棋士との対戦という環境で、通算勝率七割八厘という数字は驚異的といえる。対局数五百局以上で勝率が七割を超えている棋士は他にいない。

 要因として、切り替えの速さが挙げられる。手痛い敗北の次戦で、何事もなかったように指す羽生さんの姿を何度も見てきた。切り替え方を尋ねた時の答えは「直後に対局を振り返り、自分の中で無理やりにでも結論を出す。そして引っ張らず次に進む」。あっさりと話したが、並の精神力でできることではない。

 羽生さんは昨年末に竜王を失い、二十七年ぶりの無冠に転落した。気持ちの張りを失ってもおかしくないが、その後の勝率は七割三分七厘と通算成績を上回る。今期の王位戦も挑戦まであと二勝に迫った。敗れてもまた立ち上がる。その地道な繰り返しで到達した大記録だ。

◆王位挑戦権あと2勝

 二十三日の第六十期王位戦挑戦者決定リーグ最終戦の結果、羽生善治九段は、豊島将之王位=名人、棋聖=への挑戦権獲得まで、あと二勝となった。挑戦権は、永瀬拓矢叡王(えいおう)(26)、木村一基(かずき)九段(45)、菅井竜也七段(27)と計四人で争われる。

◆近いうちに百期達成

 <日本将棋連盟東海普及連合会の中山則男事務局長の話> 大山康晴先生は雲の上の人で、最多記録に並んだのはすごいとしか言いようがない。昨年、無冠となった後も、きっとこのままでは終わらないと思っていた。近いうちにタイトル通算百期を達成するはず。羽生さんの実績や人格、将棋への真摯(しんし)な態度は、藤井聡太七段をはじめ若手の良いお手本。これからも彼らの目標であってほしい。

 (樋口薫)

 

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