東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 囲碁・将棋 > ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【囲碁・将棋】

<頂へ 月刊・藤井聡太七段> 妙手で羽生九段に完勝

王将戦本戦リーグでの対局後、感想戦で対局を振り返る藤井聡太七段(左)と羽生善治九段=東京都渋谷区の将棋会館で

写真

 藤井聡太七段(17)=愛知県瀬戸市=は十月、八大タイトル挑戦の最年少記録が懸かる王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の本戦リーグで、次々と強敵にぶつかった。同じ愛知県出身のトップ棋士豊島将之名人(29)に四度目の黒星を喫したが、将棋界第一人者の羽生善治九段(49)からは二度目の金星を奪取。初参戦で首位争いをリードしている。

 藤井七段は十月七日、大阪市の関西将棋会館で豊島名人と戦った。豊島名人は少し前の王位戦七番勝負(中日新聞社主催)で木村一基九段(46)に敗れて失冠。三カ月前に三つ保持していたタイトルが、名人位だけになった。それでも藤井七段には、無類の強さを見せつける。この日も互いに持ち時間をほぼ使い切る百七十一手までの熱戦を、豊島名人が制した。

 デビュー以来八割超の勝率をキープする藤井七段だが、豊島戦では四連敗。難攻不落の絶壁にまたもやはね返され、「自分の足りないところが出た結果。改善したい」と肩を落とした。

 しかしショックは引きずらない。十八日に大阪であった次戦は、糸谷哲郎八段(31)に快勝。リーグ成績を二勝一敗とし、二勝〇敗でトップを走る羽生九段と戦うことになった。

 いずれも希代の天才と評される将棋界のスター。そんな二人が公式戦で初めて相まみえたのは二〇一八年二月、朝日杯将棋オープン戦準決勝の晴れ舞台だった。大勢のファンが見守る公開対局で羽生九段を破った藤井七段は、決勝で広瀬章人竜王(32)も下して優勝。公式棋戦優勝の最年少記録を打ち立て、六段に昇段した。デビューから二十九連勝して脚光を浴びた藤井七段の人気は、この時不動のものになったといえる。

 朝日杯は持ち時間各四十分の早指しだが、王将戦は各四時間。藤井七段は「羽生先生と長い持ち時間で対戦するのは初めてなので楽しみ。力を尽くして戦いたい」と闘志を燃やした。

 そんな注目の一戦は二十一日、東京の将棋会館で始まった。

 羽生九段が先手番で、相掛かりの戦型。将棋は自分の駒をいかに効率よく盤上に配置するかが鍵になる。しかし藤井七段は五十手目、あえて動きが制限される盤の端に、広範囲をカバーする「金」を打った。以後、勝負のてんびんが徐々に藤井七段に傾いてゆく。羽生九段も必死の反撃を試みたが、藤井七段が落ち着いて対処。終わってみれば八十二手までの完勝だった。

写真

 終局後、羽生九段は「あの金は想像以上に厳しかった。端にいて働かないと思ったら、結構存在感があった。指されてみて、なるほどなと感心した」と率直に妙手をたたえた。藤井七段は「今回のような展開になれば、あの金が働く変化もあるかと思った」。百戦錬磨の大先輩に、見事に読み勝ったといえる。

 羽生九段の初黒星で、広瀬竜王、羽生九段、藤井七段の三人が一敗で並んだ。残る二局は、一戦一戦が天国と地獄を分ける重要対局になりそうだ。

 トップが同成績で複数いる場合、原則として上位二人がプレーオフを戦う。前期から勝ち残ったシード組が上になる仕組みで、初参戦の藤井七段の不利は避けられない。でも、ひょっとすればひょっとするかも−非常にワクワクする展開になった。

写真

◆<当面の主な予定> 久保九段、広瀬竜王と対戦

 トップ棋士七人が総当たりで渡辺明三冠(35)への挑戦権を争う王将戦本戦リーグが、いよいよ佳境に入った。初参戦ながら三勝に一番乗りして暫定トップの藤井七段は、次戦で久保利明九段(44)、最終戦で広瀬竜王と対決する。注目の首位争いは、最後まで息詰まるデッドヒートが続きそうだ。

 (岡村淳司)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報