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【囲碁・将棋】

<頂へ 月刊・藤井聡太七段> 令和の決意を聞く

「研鑽」と書かれた色紙を持ちポーズを決める藤井聡太七段=大阪市福島区の関西将棋会館で

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 令和最初の正月を迎えました。本欄では、今年もタイトルという頂に挑む藤井聡太七段(17)=愛知県瀬戸市=の活躍を追い掛けてゆきます。第一弾は、拡大版のインタビュー。昨年の「あの一局」の感想、今後の進路、東京五輪…。ファンが気になる本人の言葉を、たっぷりご紹介します。

 −昨年の王将戦の挑戦者決定リーグは、あと一つ勝てば史上最年少の挑戦者誕生というところで、広瀬章人八段に敗れました。

 最後はこちらにチャンスがある局面もありましたけど、持ち時間もなかったので正確に指すことが難しかったです。その前の中盤でこちらが勝っていた局面があったと思うので、そこで正しく指せずに形勢を損ねてしまったのが、個人的にはより悔いが残りました。

 −あの夜は悔しくて眠れなかったのでは。

 ははは、そういったことは特にないです。タイトルに挑戦できなかったのは残念ですが、あと一勝というところまでいったのも初めてだったので。そういう機会をこれから多くつくれるよう頑張りたいです。

◆記録は気にしない

 −周囲は藤井七段の記録を気にします。でも、ご自身は淡々としてますね。

 対局すると、結果は勝ちと負けの二つしかありません。だから、記録とかそういう細かい単位で気にしすぎるとよくないと思って。実力がつけば、長いスパンで見て結果がついてきます。何よりもまず実力を高めることを優先したいです。

 −愛知県一宮市出身の豊島将之二冠にデビューから四連敗。大きな壁です。

 最初の対戦は棋士になりたての頃で、はっきり力の差を見せられました。二戦目は早指しで、結果は仕方ないかと。三、四局目は竜王戦、王将戦の本戦という、大きなところで負かされてしまって。どちらも一方的な内容でないと思いますが、急所の局面でこちらが先に間違えた。まだまだ際どいところで差があるのかなと。互角に近い勝負ができるようにはなってきていると思いますが。

 −王位戦(中日新聞社主催)では、「千駄ケ谷の受け師」の異名がある木村一基王位が、最年長で初タイトルを獲得しました。

 木村王位は以前からタイトルに挑戦されることも多く、いつ獲得されてもおかしくなかったですが、充実の豊島二冠相手に獲得されたのは素晴らしいと感じます。木村王位は相手の攻めを引っ張り込むような非常に強気な指し回しが持ち味。受けているけど、逆に相手の攻め駒を取ってしまうような。今回の七番勝負は豊島二冠の研究に臆することなく、強気に戦われていたのが印象的でした。まだ公式戦での対局がないので、対戦したい気持ちはあります。そのために王位戦も頑張らないと。

 −このところ矢倉戦法を積極的に指してますね。

 矢倉は古くから指されている戦型の一つですが、最近いろいろ新しい形が出てきました。以前よりも作戦としてバリエーションが広がった面があるので、公式戦で採用しています。

◆居飛車は自然な形

 −振り飛車を指さないのはなぜですか。

 振り飛車は有力な戦法の一つですが、飛車を移動させるのに一手かかります。その一手で飛車の働きが上がっているかというと、個人的には微妙な気がして。飛車を初期位置のままで使うのが、自分としては最も自然だと思います。

 −この一年で新たに興味を持ったことは。

 将棋の検討に使っているパソコンが二年たったので買い替えようと。次はパーツを購入し、やり方をインターネットで調べて、自分で組み立てるつもりです。スペックはハイエンド(最高位)のものが欲しいんですけど、いきなりそれに挑戦して失敗したら痛いので、まずは練習として。

 −この夏には選挙権がある十八歳になります。

 一応成人ということになるかと。社会的にもより責任ある立場になるので、その辺りをしっかり自覚してやっていきたいです。

 −昔のように将棋を楽しめてますか。

 そうですね、はい。一局ごとに新しい局面に出合いますし、新しい発見がたくさんあるので。

 −囲碁界では小学生棋士の仲邑菫(すみれ)さんや最年少二冠の芝野虎丸さんが話題です。刺激を受けますか。

 囲碁のルールは全く分かりませんが、若い方が活躍するニュースを聞いて、自分も頑張らねばと思うところはあります。将棋では、まだ自分より若い棋士が誕生していません。若い世代がどんどん棋士になってほしいと思います。

 −棋士や女流棋士、奨励会員が増え、東海棋界の層が厚くなっています。

 東海地方はもともと将棋が盛んな地域ですが、棋士はあまり多くなかった。最近増えているのはうれしいし、それによってまたどんどん将棋が盛んになってくれたらと思います。

 −別のインタビューで自分が才能型か努力型かを問われ、環境型と答えていました。今も周囲への感謝の気持ちが強いですか。

 はい。やはり将棋を始めた頃から両親や師匠、そのほかの本当にたくさんの方に支えられて成長することができたという思いが強くあります。今まで支えてくださった方に恩返しできるように頑張りたいです。

◆卒業後は進学せず

 −まもなく高校三年生。卒業する日も近づいてきます。進路は決めましたか。

 基本的に進学は想定していません。

 −クラスメートは進学ばかりだと思います。寂しくない?

 ははは、まあ、それは何というか、人と比べてというわけでなく自分の判断なので。

 −将来的に愛知から拠点を移すことは。

 それに関しては、今は具体的な話は全然ないですけど…。まあ、可能性としてはあるのかなというふうには思ってます。

 −一人暮らしをしてみたいですか。

 うーん、そうですね…。一人暮らしをするには、まず生活能力を上げないといけないので、すぐにはなかなか難しいかと。そこは頑張らなければ(笑)。

 −今年は東京五輪があります。関心は。

 現時点で具体的な競技に注目しているということはありませんが、将棋会館がある千駄ケ谷に新国立競技場ができました。そこでいろいろな競技が開催されることになるので、街全体で盛り上がってくれたらいいなと思います。

 −最後に抱負を聞かせてください。

 昨年はトップ棋士との対局が多く、自分の課題を感じました。今回色紙に書きましたが、研鑽(けんさん)を積んで少しでも差を縮めたいです。すぐ結果を求めるのでなく、しっかり地力をつけて、またタイトルに近づける機会を多くつくりたいです。

◆朝日杯で菅井七段と対戦 当面の主な予定

 藤井聡太七段の3連覇が懸かる朝日杯将棋オープン戦の本戦が年明けに開幕。藤井七段は19日、名古屋市での初戦で菅井竜也七段と戦う。王位戦は初めて挑戦者決定リーグに進出。今後紅白の2グループに分かれ、羽生善治九段らトップ棋士と木村一基王位への挑戦権を争う。C級1組に在籍する順位戦は今期、無敗で首位を独走中。昨年果たせなかった昇級に着々と近づいている。

 (岡村淳司)

 

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